中国が尿素の輸出を絞ったため、韓国ではディーゼルトラックで使う尿素水が足りなくなり、物流が止まる可能性が高まっています。これは、尿素の輸入の97%を中国に依存していたためです。
民間の輸送車が止まるだけはなく、軍用も止まります。いくらなんでも中国に対する依存度が高すぎ、そのリスクが顕在化したのです。
先にご紹介したとおり、韓国政府は緊急で国家安全保障会議を開催。しかし、今さら会議を開いたところで中国に協力を依頼するか、よそから必要分を輸入するしかありません。
ただ、よそから輸入するといっても、かつてのワクチンを同じで「顧客の皆さんは同じように待っていらっしゃるので、列に並んでください」と言われるでしょう※。
つまりは、普段からリスク分散をしておかなかったのが悪い、ということです。
今回の尿素不足がよほど効いたのか、韓国メディアに「中国依存が過ぎる輸入品目はないのか」という記事が出ています。
例えば、『韓国経済』では、野党『国民の力』ハン・ムギョン議員の調査を基にした報道が出ています。これによれば、
2021年01~09月
輸入品目:1万2,586種特定の国家に80%以上依存
3,941品目(1万2,586種の31.3%)中国に80%以上依存
1,850品目
(3,941品目の46.9%)
(1万2,586品目の14.7%)
となっています。
韓国は、80%以上を特定の国に依存している輸入品目が全体の31.3%あり、中国に80%以上依存しているものは全体のほぼ15%に及びます。
同記事では、特に以下のものを中国に依存しているのが懸念されるとしています。
酸化タングステン:94.7%
ネオジム永久磁石:86.2%
「ネオジム永久磁石」というのは、鉄を主成分とし希土類元素「ネオジム」(Nd)を用いた、最も強力といわれる永久磁石。一般にはあまり知られていませんが、日本で発明されました。モーターやアクチュエーターの部品として使われます。
今回の尿素不足で図らずも露呈しましたが、韓国では自国産業にとって重要な素材・原料・装備の調達についてリスク分散が十分に行われているとは言いがたく、スキがあちこちにありそうです。
2019年07月の日本の輸出管理強化によって窮地に陥った際、「自国の素材・原料・装備の調達率を高めるぞ」としたはずなのですが、対中国にまでは頭が回らなかったとみえます。
(吉田ハンチング@dcp)