2022年04月05日、韓国の企画財政部が「2021年の政府決算」の資料を出しました。
結論からいえば、韓国政府は2021年に負債を「214.7兆ウォン」増やしました。
以下が資産・負債の資料です。ご覧ください。
政府資産の部
➊流動資産:566.0兆ウォン
➋投資資産:1,167.9兆ウォン
➌一般タイプ資産:705.6兆ウォン
➍社会基盤施設:382.6兆ウォン
➎無形資産:2.5兆ウォン
➏その他の流動資産:15.3兆ウォン
政府資産計:2,839.9兆ウォン
対前年比:+352.8兆ウォン/+14.2%政府負債の部
➊流動負債:187.9兆ウォン
➋長期借入負債:756.1兆ウォン
➌長期引当負債:1,199.4兆ウォン
➍その他の流動負債:53.0兆ウォン
政府資産計:2,196.4兆ウォン
対前年比:+214.7兆ウォン/+10.8%
韓国政府の「資産:2,839.9兆ウォン」「負債:2,196.4兆ウォン」なので、純資産は「643.5兆ウォン」あります。
つまり、資産の方が「643.5兆ウォン」多いので一応は大丈夫のように見えます。
しかし、➌の「一般タイプ資産」は土地、建物、建造物など、➍の「社会基盤施設」は道路、鉄道、港、ダムなどで、➌~➏はいざというときお金に換えることが困難な資産です。
役に立つのは➊の「流動資産」と➋の「投資資産」、合計「1,733.9兆ウォン」と思われます(ただし、どちらもどの程度換金性が高いのかは不明/中身が分からないので)。
また、負債の増加が気になる点です。➊の「流動負債」(1年未満の国庫債、借入金、請約貯蓄など)が「20.0兆ウォン」、➋の「長期借入負債」(国庫債、公債、借入金など)が「97.6兆ウォン」増加しています。
ちなみに、文在寅政権の成立前、政府負債は「1,433兆ウォン」でしたから、文政権で「約763兆ウォン」も負債を増やしたことになります。
先にご紹介したとおり、韓国政府は債券の発行によって巨額の資金を外国から調達しています(国際収支統計による)。資金調達ができなくなったときが危険です。もちろん、そのためにどうあっても国の信用格付けを落とすわけにはいきません。
韓国政府が公表している政府負債は、今回公表された「2,196.4兆ウォン」の半分ほどですが、それは「D1」で計算しているためです。
上掲の➌長期引当負債がカウントされていません。国民年金、公務員年金、軍人年金など将来に支払う予定の金額を引当金として積んでおかねばならないのですが、これを負債とはカウントしていないのです。
理由は「返済義務のある国庫債(国債)などとは異なり、今後70年余りに渡って分散支出するので債務とは見なしにくいから」です。
そのため、韓国政府が公表する政府負債の裏には1,000兆ウォンを超える引当金があるのだ、という認識を持つ必要があります。
引当金も負債と認めて計算するのであれば、韓国政府の負債は実はすでに対GDP比で100%を超えている――そう考えることもできるのです※。
※ただし国際比較では普通「D2」が用いられます。『IMF』や『OECD』でも「D2」を使って政府負債の比較を行っています。
(吉田ハンチング@dcp)