「喉元過ぎれば熱さ忘れる」という話です。
Money1でもご紹介しているとおり、ドルウォンレートにオーバーシュート分の調整が入り、急速にウォン高方向に戻しています。しかし、これは予定どおりです。
オーバーシュート分の調整は「やっと入ったか」という感じなのですが、これは市場のモメンタムが常に重いためです。株式、FX取り引きを行う方はご存じのことですが、市場のモメンタムはいつも重いのに、「動き出すと瞬時」なのです。
今回オーバーシュート分の調整に大きく動いたのは、アメリカ合衆国のインフレ進行がピークを過ぎたという観測が出たためです。加えて中国のロックダウンの解消による「貿易のボトルネックが取り除かれること」に対する期待です。
1,200ウォンへと自然に下がる?
2022年05月30日、Money1でもご紹介したとおり、ドルウォンが大きくウォン高方向に動きました。
そのため韓国メディアでは「ドルウォンレートは1,200ウォン前半に戻り、徐々に下落する」という記事が出ています。
『ChosunBiz』の記事から以下に一部を引用してみます。
(前略)
合衆国の物価がピークを過ぎたという認識が広がり、ドルの価値が下落した上、中国が来月から主要都市の封鎖を緩和するというニュースに安全資産の好みの心理が和らげられたと解釈される。ドルウォンの為替レートが1,240ウォンより下がったのは04月22日(1,239.1ウォン)以降24取引日だけだ。
(中略)
専門家らは、連盟の緊縮志向が外国為替市場に先反映され、為替オーバーシュート(overshooting・一時的暴騰)が現れたと評価した。
ペク・ソクヒョン新韓銀行研究員は「5月13日までに過度に上昇した為替レートが合衆国の物価ピークアウトと中国封鎖令解除のお知らせに直近2週間の戻りを経験している」とし「新しい悪材料が現れない限り、戻すの局面が持続し、ドルウォンレートも1,200ウォンに向かって徐々に下落する自然な手順を踏むだろう」と話した。
(後略)⇒参照・引用元:『ChosunBiz』「米国『物価頂点』期待にウォン・ドル為替レート17ウォン急落…1,200ウォン前半に戻る」
やっと韓国メディアでもオーバーシュートという言葉が出てきたわけですが、ご紹介したとおり、マルチタイムフレーム分析でチャートを見ていれば誰もが気付いていたはずです。しかし、「戻し」が実際にいつ来るのかのタイミングだけは読むことはできません。
市場のモメンタムはいつも重く、それを動かす「きっかけ」がいつ来るかは分からないからです。
ただし、「ドルウォンレートも1,200ウォンに向かって徐々に下落する自然な手順を踏む」かどうかはまだ分かりません。
ウォン高進行で「通貨スワップ」と言わなくなる?
というのは、オーバーシュート分の調整が終わっても「ウォン安方向に進行してきた上昇のチャネル」が割られたという明確なサインはまだ出ていないからです。
面白いのは、ウォン高方向へのためなのか「通貨スワップが必要だ」といった主張が見えなくなったことです。
「ウォン安が進行しているので、これを止めるには米韓通貨スワップが必要だー」だったのですが、ウォン高方向に進行すると「すぐには要らないのかも」となるようです。米韓首脳会談で不発なのが利いているのかもしれません。
ですが、皆さん忘れています。急速にウォン高に戻したということは、逆もまた普通にあり得ます。これでウォン高方向へ戻ると思い込むのはまだ早い――と見た方がいいのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)