ウォン安の急進によって韓国株式市場が再び緊張しています。
↑09月02日は「1ドル=1,362ウォン」に達して締まっています(チャートは『Investing.com』より引用:週足)。
というのは、韓国メディアには毎度おなじみの「外国人投資家が帰ってきた!」という記事こそ出ていないものの、韓国取引所のデータによれば、2022年08月には外国人投資家は「3兆9,837億ウォン」※の買い越しで締まっているのです。
※KOSPI、KOSDAQ、KONEXを合算した金額です。
ウォン安が進行すると見れば、基本、外国人投資家は韓国株式市場から資金を抜きます。
資金を抜くというのは売却するという意味です。なぜかというと、ウォン安が進むと韓国株を保有してたとえ上がったとしても、ドルに換えたときに為替で損をするかもしれないからです。
上掲のとおり、いよいよ「1ドル=1,400ウォン」に達しようかという勢いに見えますので、外国人投資家が資金を抜きにかかるのではないかと恐れているというわけです。
実際、09月に入ってからの外国人投資家の売買動向は、わずか2日だけですが「6,748億ウォン」の売り越しです。
09月01日:4,249億ウォン売り越し
09月02日:2,499億ウォン売り越し
小計:6,748億ウォン売り越し
データ出典:韓国取引所
例えば、韓国メディア『ソウル経済』では、08月26日に行われた、例のジャクソンホール会議におけるパウエル議長のキーノートスピーチでまた潮目が変わったとして、以下のような証券会社研究員の言葉を紹介しています。
「しかし、演説以後、来年も合衆国の基準金利が高い水準で維持される可能性が大きくなると、ドル強の流れが予想より長期間続く可能性があるという懸念に、外国人も国内証券市場で純売り越しの勢いを強める様相を見せている」
「せっかく08月に帰ってきたかと思ったら、もう出ていくのかよ」という話ですが、お金はより増える方向に動くので、こればかりは嘆いても仕方ありません。
それよりも韓国が心配しなければならないのは、債券市場の方です。
何より韓国の金融当局は「株式市場からの資金流出は見られるが、債券市場には資金流入しているので大丈夫」と言ってきました。ですので、こちらで資金流入が細くなると大変に困ったことになります。資金調達が困難になってきたことを示すからです。
どんなお金だろうが、とにかく入ってくるうちはまだ安心していられますが、途切れるとアカンのです。これは個人経営だろうが、大企業だろうが同じです。
もう10日もすれば『韓国銀行』から直近の金融市場の統計が出ますので、またご紹介するようにいたします。株式市場、債券市場で外国人投資家の資金がどのように動いたのかを確認してみましょう。
(吉田ハンチング@dcp)