読者の皆さまももうご存知でしょうが、韓国で中国に対する抗議の声が上がっています。
面倒くさいことに「歴史問題」についてです。
中国・北京の『中国国家博物館』で日中韓の古代青銅器の特別展が行われているのですが、韓国の『国立中央博物館』が提供した歴史年表を改ざんして展示したとして、韓国側が中国側に抗議。是正を求めました。
韓国の歴史年表から「高句麗と渤海が削除された」というのが抗議の理由です。
これは「東北工程」(「東北辺疆歴史与現状系列研究工程の略)といわれる、中国の国家プロジェクトにかかわる問題なのです。
「東北工程」は中国東北部の歴史研究を目的としているのですが、当プロジェクトの研究成果では、高句麗、渤海は中国の属国である――となります。
当然、韓国にとって面白い話ではないので「朝鮮半島の歴史を歪曲するもの」と猛反発しており、外交問題にまで発展しました(一応本件は政治問題化しないということで合意が成立しています)。
今回また本件に火がついたというわけです。
興味深いのは、本件が中国外交部の定例ブリーフィングでも取り上げられたということです。
以下に、中国外交部が公開したリポートから該当部分を引用します。
↑毛寧さんは新しく外交部報道官に加わった人です。その分「シュタッ!」のポーズでおなじみ趙立堅さんの出番が減って残念な感じです。聯合ニュース:
韓国メディアの報道によると、中国と韓国の政府は、韓国、中国、日本の古代青銅器の展示に高句麗が含まれていないことについて交渉しています。報道官には中国の立場をお願いします。毛寧報道官:
私は一昨日、これに関する中国の立場を紹介しました。学術的な問題は学術分野で専門的に議論し、コミュニケーションを取るものであることを再度強調したいと思います。
双方の展示部門が友好的な交渉を通じて関連する問題を解決できることを願っています。
中国側は、韓国側と協力して、2004年に両国が合意した了解に従い、歴史と現実を分離し、学問と政治を分離するという原則に従って、高句麗問題を適切に処理することを望んでいます。
中国政府は「合意に従って学術的な場でやってください」とかわしました。「中国政府に文句を言ってくるんじゃねーよ」というわけです。
また面白いのは、中国側が15日、「年表の撤去を韓国側へ通知した」ことです。
「修正する」ではありません。撤去です。
つまり、中国が「韓国側の主張を認めたわけではない」ことを示しています。
(吉田ハンチング@dcp)