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韓国「97年のIMF危機に似てきた」という怯え。『韓国銀行』も「赤転」を否定していない

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ウォン安が「1ドル=1,430ウォン」超え、かつての通貨危機水準まで達し、株価も下がって、(通関ベースの)貿易収支も赤字が継続――と大変にいいことのない韓国。

特に通貨安が止められないことから、韓国メディアでは悲観的な記事が散見されるようになっています。中には「また『IMF』が来るじゃなかろうな」と読者の怯えを誘うような記事も出ているのです。

経常収支が赤転すると……

例えば、2022年09月30日には『毎日経済』には、「97年の為替危機も経常赤字が『触発』」という記事が出ています。少し引用してみると、以下のような具合です。

(前略)
先の外国為替危機(1997年のアジア通貨危機のこと:引用者注)が引き起こされる直前の1996年、韓国は230億ドルに迫る莫大な経常収支赤字を記録した。

輸出で食べて暮らしている韓国がこのように莫大な経常赤字を記録すると、外国人投資家たちが韓国経済のファンダメンタルを懐疑的に見て引き潮のように離脱し、短期間でのウォンの暴落(為替レート急騰)が発生した

最近、経常収支に非常灯がついて懸念が大きくなっているのは、当時の悪夢が思い浮かぶからだ。

今月初め、『韓国銀行』は07月、国際収支統計を発表し、悪化する貿易条件によって08月の経常収支が赤字に転換し得ると明らかにした。

当時、キム・ヨンファン経済統計局金融統計部長は「08月の貿易収支が異例的に大幅な赤字を示し、商品収支も影響を受けるとみられる」と話した。
(後略)

⇒参照・引用元:『毎日経済』「97年の為替危機も経常赤字が『触発』」

全体としては「韓国は経常収支が赤字になると危ない」としています。

これはMoney1でも何度もご紹介してきたとおりで、韓国は「貿易収支が大幅な黒字」でないと経常収支が黒字にならず、国が回りません。

なぜ回らないかというと、経常収支の赤字が続くと外貨が出ずっぱりな状況で、いつか輸入決済用の外貨がなくなるからです。

アメリカ合衆国のように、経常収支が赤字でも金融でどんどんお金が入ってくるから大丈夫だもんね――とはならない国だからです。

そのため、韓国がドボン騒動を起こすときはいつも、貿易収支の赤字がサインとして現れ、次に経常収支が赤字に転落。

外貨が出ずっぱ」では困るので、韓国は外国からの融資などで外貨不足を補うのですが、そのうち「韓国は危ないんじゃないか(これ以上お金を貸しても返ってこないんじゃないか)」と貸し手が不安になります。

貸し手が資金の回収に走って、「ロールオーバー(借り換え)の拒否」「新規融資の拒否」という行動に出ると、借金の元利払い・償還ができずに白旗を上げる――というパターンです。

過去の2つの危機は同じ構造で起こった

1997年アジア通貨危機時には、いわゆる「漢江の奇跡」継続中で、借金を積み上げて事業を拡大するという「借金ドライブ」で踊り狂っていたのですが……急激な資金回収が起こってドボン騒動となりました。

上掲記事内では「1997年アジア通貨危機」の前年、1996年に韓国は230億ドルの経常収支赤字に見舞われたとしていますが、これは244億ドルの誤りだと思われます。


↑黄色でフォーカスしてあるのが1996年の経常収支です。「-244億6,110万ドル」です。

⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」

ご注目いただきたいのは、

韓国の経常収支
1994年:-47億9,350万ドル
1995年:-102億2,970万ドル
1996年:-244億6,110万ドル

と経常収支が赤字続きで、「外貨が出ずっぱ」状態であるということです。

これをファイナンス(穴埋め)するために外国から巨額のお金を借りて回していました。これは金融収支の方に表れています。

韓国の金融収支
1994年:-62億9,750万ドル
1995年:-115億1,700万ドル
1996年:-234億6,790万ドル
1997年:-177億8,530万ドル

⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」

金融収支がマイナスということは、対外資産より対外負債がこの分増加したということを意味します。対外負債の増加ですから、外国からこの巨額分だけお金を入れてもらっていたわけです。

で、この積み上げた巨額負債の償還に行き詰まってドボン騒動――簡単にいえば、アジア通貨危機時の韓国はそういう構造だったのです。

2008~2009年の韓国通貨危機のときも(先の記事で詳しく書きましたので繰り返しませんが)基本構造は同じです。

このような過去の2例があるので、上掲記事のように「経常収支に非常灯がついて懸念が大きくなった」といえるわけです。

『韓国銀行』は「経常収支が赤字に転落するかも」と言った

さらにご注目いただきたいのは、『韓国銀行』自身が「08月の経常収支が赤字に転換し得る」と述べたことです。

実際にそうなると「貿易収支の赤字 ⇒ 経常収支の赤字」という赤信号です。これが発表されると、はっきりしたサインですから、韓国からの資金流出が大きくなると思われます。

08月の国際収支統計の公表はもう来週です。

ご期待ください。

(柏ケミカル@dcp)

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