韓国メディア『中央日報(日本語版)』にまた「通貨スワップ」(韓国での呼称に従います)絡みの記事が出ました。「CMIM」(Chiang Mai Initiative Multilateralisationの略:チェンマイ・イニシアティブ・マルチ)で緊急時に利用できる金額が拡大したという件です。
先にご紹介したことがありますが、「チェンマイ・イニシアティブ」はアジア通貨危機時を契機に作られた、外貨を融通するためのスワップ取り決めです。現在は二国間ではなく多国間でスワップを行えるよう「マルチ」に発展しています。
で、いざというときはこれを利用してドルを引き出すことが可能です。ただし、引き出す額と同額になる自国通貨を出すのと交換です。そのため「スワップ(swap)」と呼ばれます。
韓国の場合、384億ドルが利用可能ですが、全額利用するには、韓国で「死神」と呼ばれ恐れられる『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)の了承が必要です(IMFの支援プログラムとリンクする必要がある)。
↑このとおり、韓国の場合、貢献額384億ドルが上限。日本と中国は貢献額の50%まで(借入乗数がそれを示しています)
『IMF』に相談なく(『IMF』の支援プログラムとリンクしないで)引き出せるのは、この384億ドルのうち「30%」でした。
しかし、2021年03月31日に改訂が発効し、これが「40%」にまで引き上がげられました。つまり韓国の場合、
になったわけです。
この改訂発効については、『日本銀行』も以下のようにリリースを出しています。
⇒参照・引用元:『日本銀行』公式サイト「チェンマイ・イ二シアティブ(CMIM)契約書の改訂の発効について」
上掲文書にあるとおり、「現地通貨」も使用可能になりました(ただし細則は議論中)。例えば、韓国がウォンを差し出したとして、日本は供与する通貨を「円」にしてもいいわけです。
上掲の『日本銀行』では、「現地通貨の使用は、要請国・供与国双方の自発性および需要に応じ実施される」となっていますからね。
「ドルにしてくれよ」「やだね人民元なら供与する(中国)」みたいなことになったら面白いのですが。
(吉田ハンチング@dcp)