2019年末から経営危機に陥った韓国『大韓航空』と『アシアナ航空』が合併にまい進しております。韓国では「もうこれで大丈夫」とでもいうような極めて楽観的な雰囲気になっています。
例えば、2021年03月31日、韓国メディア『デジタルタイムズ』には「大韓航空『アシアナとの統合シナジー年4,000億』」という非常に楽観的な記事が出ました。
これは同日に行われたオンライン記者懇談会の内容を記事にしたものですが、『大韓航空』ウ・ギホン航空代表取締役が以下のように述べたとのこと。
「重複路線を効率化するなど、旅客と貨物の収益性を向上させ、コスト削減を通じた推定相乗効果は、年間約3,000億ウォンから4,000億ウォン規模と予想される」とし
「ただし少なくない統合費用がかかるものと見られるだけに、本格的な効果は、統合以来、約2年後と予想する」
(後略)
「3,000~4,000億ウォン(約292~392億円)」規模のシナジー効果があるとしていますが、確かに路線の整理や重複する間接部門をスリムにするなどを行えば、コストをカットできるでしょう。
しかし、一方で、
とも述べているのです。(政府や国策銀行の手前もあって言えないのかもしれませんが)人員整理もなく構造調整が可能でしょうか?
何度もご紹介しているとおり、『大韓航空』『アシアナ航空』はコロナ前の2019年からすでに経営が危うくなっていました。特に『アシアナ航空』は、そのために買収騒動が起こったことを忘れてはいけません。
今でも危ないのです。『アシアナ航空』はいうに及ばず、『大韓航空』だってずいぶんコロナ禍に耐えたものの、
売上高:7兆4,050億ウォン(対前年比:40%減少)
営業利益:2,383億ウォン(対前年比:17%減少)
当期純利益:-2,281億ウォン
という結果でした。また、借金を返済するための社債を3,000億ウォン分発行する予定もあります。少しでも油断したらキャッシュがショートするかもしれない薄氷の上です。
シナジー効果が4,000億ウォンなどと2年先の話よりも、目先の現金です。その2年先にたどりつけるかどうかが問われてる現在なのです。
(吉田ハンチング@dcp)