韓国は北朝鮮の火砲の射程内に首都があるというヘンな国ですが、今また「そんなところに造って大丈夫なのか」というビッグな企画が持ち上がっています。
⇒参照・引用元:『韓国 第20代大統領室』公式サイト「尹錫悦大統領、第14次緊急経済民生会の主宰および関連事項について報道官書面ブリーフィング」
2023年03月15日、韓国政府は京畿道龍仁市に710万平方メートル規模の「システム半導体特化産業団地」(クラスターと呼ぶ)を造成する、という計画を公表しました。
上掲は第20代大統領室が公表した「第14次緊急経済民生会議」のプレスリリースですが、同会議において「国家先端産業育成戦略」と「国家先端産業ベルト造成計画」を発表しました。
半導体、ディスプレー、二次電池など先端産業を超強大国に飛躍させるための6大核心課題、全国に先端産業基地を15カ所造成するという国家産業団地造成戦略を盛り込んでいます。
「超強大国」という表現に「1兆億円」みたいなあほっぽさを感じないではありませんが、韓国としてはビッグな企画です。
以下は産業通商資源部が出したプレスリリースですが、本当に「超強大国」と書いてあるのです。
そもそも官公庁の出すプレスリリースに「大韓民国、先端産業超強大国に跳躍する!」などという決意表明のようなタイトルが付いていることから、日本人からすれば妙な国だなあ――なのですが、今回の発表で目を引くのは、やはり「半導体メガクラスター」の造成プランです。
韓国メディアでは、『サムスン電子』は2042年までの20年間で合計300兆ウォンを投資し、龍仁に半導体ファウンドリーを5つ建設する――と書いています(例えば『ソウル経済』)。
しかし、上掲のとおり「2042年までに300兆ウォン規模の民間投資を通じて、先端システム半導体クラスターを京畿道に造成する計画も含まれています」とは書いているものの、『サムスン電子』がお金を出すなんて話はどこにもありません。
またプレスリリース下にある以下の部分にも『サムスン電子』が出すなんて書いてありません。
本当に『サムスン電子』が300兆ウォンも出すのでしょうか。
先にご紹介したとおり、『サムスン電子』は半導体部門の業績が傾き、子会社が持っている内部留保「20兆ウォン」を全部吐き出させたくらいなのです(以下記事参照)。
もっともそのお金は「投資に使う」ということではありましたが。
『サムスン電子』のホームページを見に行くと、同日2023年03月15日に以下のプレスリリースが出ています。
↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。『サムスン電子』、『サムスンディスプレイ』、『サムスンSDI』、『サムスン電気』など、サムスン系列会社は 今後10年間で、忠清・慶尚・湖南などに位置する主要事業場を中心に製造業の核心分野に計60.1兆ウォンを投資する計画だ。
上掲のプレスリリースのどこにも、5つのファウンドリーを造り計300兆ウォンを投資するなんて話はありません。
「10年間で60兆ウォン」ですから倍の20年間にしたって120兆ウォンにしかなりません。
そもそも300兆ウォンといえば、約30兆円です。いくら『サムスン電子』が世界的な企業とはいえ、1社でこれだけの投資金額をまかなえるのでしょうか。
韓国メディアの報道は本当でしょうか。
また、政府がこのクラスターを造成する京畿道龍仁市というのは……。
龍仁市はソウルのすぐ南で、早い話が38度線の近所ともいえるのです。世界最大規模の半導体ファウンドリー群をこんなところに建てて、地政学的なリスクが高すぎないでしょうか。
アメリカ合衆国が「合衆国内に建てろバカ」と言い出さないか気になるところです。
(吉田ハンチング@dcp)