韓国にとって貿易でもうけが出ているのかどうかを示す「貿易収支(輸出 – 輸入)」の数字はとても重要です。大きなプラスでないと国が傾きます。
韓国の通関ベースの貿易収支はド派手なことに12カ月連続の赤字で、2023年03月も赤字で締まれば13カ月連続の赤字になります。
ただし、通関ベースの輸出入・貿易収支の方は、鈴置高史先生もご指摘のとおり、鉛筆なめて調整している節がありますので(特に前文在寅政権時は)、どうも深刻に捉えられていない風です。
しかしながら、ウソついていたら『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)からこっぴどく怒られる国際収支統計の「貿易収支」はそうはいきません。
こちらはモロに経常収支に影響する数字ですから、深刻に受け止めるべきです。
実際、1997年のアジア通貨危機時に、国際収支統計の貿易収支がどうだったのか、以下をご覧ください。
↑黄色でフォーカスしたのが、1997年01~12月の国際収支統計の貿易収支/すぐ左の列が経常収支/▲は「マイナス」の意味です
⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
見事にマイナスばかりです。以下は、韓国通貨危機時、2008年01~12月の国際収支統計の貿易収支です。
↑黄色でフォーカスしたのが、2008年01~12月の国際収支統計の貿易収支/▲は「マイナス」の意味です
⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
「貿易収支の赤字が経常収支の赤字に結びついている」のがお分かりいただけるのではないでしょうか。韓国の場合、国際収支統計における貿易収支の赤字は、経常収支の赤字を呼ぶ最も大きな要因です。
経常収支の赤を外国からの融資などでまかない、それが償還できなくなってドボン騒動――となるのです。
韓国メディアは通関ベースの貿易収支で悲観していますが、国際収支統計の貿易収支の方をもっと嘆くべきなのです。なぜなら……以下をご覧ください。
2022年01月~2023年01月までの貿易収支は、上掲のとおり赤字が目立つようになっており、すでに4カ月連続で貿易収支はマイナスです。これが今そこにある危機でなくてなんでしょうか。
韓国は「いつか来た道」を歩くことになるかもしれません。それを避けるために、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は「何がなんでも輸出を伸ばせー」を連呼しているのです。
「日本からドル借りよ」などと考えていないか、本当に懸念される状況です。
(吉田ハンチング@dcp)