韓国メディア『朝鮮日報』がスゴい記事を出しています。
「中国によってバシー海峡を封鎖されると、3カ月以内に国内の基盤産業が麻痺する」というタイトルの記事です。
中国が現在台湾封鎖の軍事演習を行っており、事態がエスカレートしてバシー海峡を封鎖されるようなことになれば、海上輸送ルートが遮断されて韓国は干上がってしまうぞ――という内容です。
バシー海峡は、台湾島の南東にある蘭島に隣接する小蘭島と、フィリピン領バタン諸島最北のマヴディス島との間にある海峡です。太平洋(フィリピン海)と南シナ海を結ぶ交通の要所であり、軍事的にも非常に重要なポイントです。
懸念はもっともで、ここが中国に抑えられることは、韓国だけではなく日本にとっても死活問題です。
この記事は「アメリカ合衆国軍がこれを阻止するために南シナ海などで航行の自由作戦などを行ってるが、重要なのは海上交通路を守るための戦力が十分ではない」と展開して――。
まず、以下の引用部分をご覧ください。
(前略)
問題は、南シナ海などで「航行の自由」作戦を展開し、中国を牽制する合衆国海軍の戦力建設が期待に及ばないことだ。人手不足などで合衆国造船業界が苦戦しており、空母、イージス艦、原子力潜水艦など合衆国海軍が望む中核戦力の数を満たせないという懸念が高まっている。
そんな合衆国海軍の空白を日本が軽航空母艦の改造など海軍力の強化を通じて埋めようとしているが、韓国軍としては国民感情上、負担の大きいところだ。
(後略)
合衆国海軍の艦艇建造が及ばないところを日本が埋めようとしているが、(日本の戦力増強になるので)韓国民の感情に負担が大きいなどと書いています。
「知らんがな」という話です。経済的な死活問題なのに「韓国民の感情に慮ってやるな」とでも言うつもりなのでしょうか。
続いて、記事の結びの部分を引きます。
(前略)
韓国の原子力潜水艦の建造能力自体は相当なレベルに達しているが、核燃料(20%レベルの低濃縮ウラン)の確保が最も難題とされている。ちょうど今月末、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が合衆国を訪問し、米韓首脳会談を行う。
今回の首脳会談で拡大抑止強化のほか、原子力潜水艦用の核燃料確保などのための議論が行われることを期待している。
合衆国が韓国とは異なり、オーストラリアに対しては原子力潜水艦の建造を積極的に支援していることをテコにすることもできるだろう。
合衆国が原子力潜水艦を含む各種艦艇の建造に難航していることと関連し、韓国の優れた造船能力を活用して合衆国の艦艇建造を支援する形で「ウィンウィン」(Win-Win)モデルを追求することもできる。
また、ウクライナ戦争を通じて各種資源を輸送する海上交通路の重要性がさらに大きくなっただけに、大統領直属で韓国の海洋戦略を策定・点検する「国家海洋戦略委員会(仮称)」を新設する案も積極的に検討する必要がある
スゴいです。
1隻も造ったことがないのに「韓国の原子力潜水艦の建造能力自体は相当なレベルに達している」などと言っています。この自信はいったいどこから湧いてくるのでしょうか。
また、来る米韓首脳会談で「原子力潜水艦用の核燃料確保などのための議論が行われることを期待する」そうです。いや、絶対に無理でしょう。
さらには、「合衆国での建造が進まないので、韓国の優れた造船技術で原子力潜水艦の建造を支援してあげよう。Win-Winだ」などと述べています。
要するに、台湾危機をダシにして「韓国も原子力潜水艦を造って保有したいので、燃料と技術をよこせ」という話です。合衆国の原子力潜水艦を韓国で建造して技術をパクるつもりなのです。
もちろん、これは記事を書いた「ユンウォン軍事専門記者」(유용원 군사전문기자)の意見ですが、パブリッシャーとしてこの記事を掲載した『朝鮮日報』も大したものです。ド厚かましいというか、スゴいとしか言いようがありません。
これぐらい面の皮が厚ければ、生きていくのもきっと楽なのでしょうね。
(吉田ハンチング@dcp)