いつまでも高い成長を維持できるわけではない――のですが、韓国では「これまでの成長率を維持しなければならない」という論調が強いです。
例えば、韓国メディア『韓国経済』には「低成長沼に陥った韓国経済」というタイトルの記事が出ています。いちいち引用はしませんが、述べられているのは以下のような点です。
1.成長エンジンである半導体産業の落ち込みが深刻
2.ゾンビ企業※が30%に達している
3.韓国の生産性は『OECD』で最下位である
4.非正規雇用率と青年失業率が高い
5.公企業の改革が進まない
etc.
※「ゾンビ企業」とは営業利益で借金の利払いをまかなえない企業のことを指します。
「1」の半導体産業の落ち込みについては、メモリー半導体の価格が急下落したという環境ファンクターが大きいので(需要が大幅に減った)、同情する余地はありますが、技術的に『TSMC』においていかれた、メモリー半導体に特化しすぎた、といった要因も看過できません。
2~5については全部自分のせいです。
Money1でもご紹介しましたが、『KDI』(韓国開発研究院)は、「韓国経済は2023~2027年に平均2%台の成長にとどまり、生産性革新がなければ2050年には成長が止まる」というリポートを出しています。
平均2%の経済成長ができるかどうか、この見通しは甘い――という識者もいらっしゃるのですが、韓国は自分でその「低成長沼」にハマりにいっているです。
沼から抜け出るのも自力で行わなければなりません。
『韓国経済』の記事が面白いのは、移民政策に突破口があるのでは?と指摘している点です。
その部分を以下に引いてみます。
(前略)
移民改革も喫緊の課題だ。移民改革を解放後の土地改革と同一視した韓東勳(ハン・ドンフン)法務部長官の視点は新鮮だ。
世界はすでに移民競争の時代に突入した。
韓国も多文化社会となり、国際結婚率も10%を超えた。
主要先進国の中で、移民に門戸を開放せずに先進国入りすることに成功した国は日本だけだった。
しかし、保守的な日本ですら生産人口不足問題を解決するために、結局、門戸開放に踏み切った。
過去、日本は満州への大規模な移民を通じて経済覇権を追求した。
南満州鉄道は満州経営の中核で、日本の海外資産の80%が集中した。これが、なんと税収の25%を生み出した。
中国が高速成長で世界の工場となった背景には、5,000万人の華僑勢力の支援が決定的だった。ソ連崩壊後、多くの技術専門人材が脱ロシアを選択したことが国力の弱体化をもたらした。
移民集団が今日のシリコンバレーを誕生させた。
米国の『Google』『Microsoft』『Tesla』のような革新企業は移民が主導した。
世界最低レベルの出生率、急激な高齢化と生産人口の急減、前例のない人口津波を克服するためには、積極的な移民政策への転換が避けられない。
以前、産業化は韓国を先進国の仲間入りをさせた重要な要素だった。今こそ、果敢な移民門戸開放で「第2の国家飛躍」を図るべきである。
⇒参照・引用元:『韓国経済』「[다산칼럼] 저성장 늪에 빠진 한국 경제」
日本を例に出しているのはいかがなものか、ですが、韓国は世界に類を見ない「日本を丸ごとコピーしようとした国」なので、日本の政策については常に注視することになるのです。
しかし、「日本に起こったことは必ず韓国でも起こり、日本より事態は過剰に進展する」という法則からすれば、移民政策に舵を切ると「過剰な事態」が起こりそうです。
(吉田ハンチング@dcp)