2024年11月01日、韓国の産業通商資源部、関税庁が「2024年10月の輸出入動向」のデータを公表しました(速報)。
10月、および01~10月累計は以下のようになっています。
2024年10月
輸出:575億1,700万ドル(4.6%)
輸入:543億5,000万ドル(1.7%)
貿易収支(輸出 - 輸入):31億6,700万ドル2024年01~10月
輸出:5,661億8,800万ドル(9.1%)
輸入:5,262億6,500万ドル(-2.1%)
貿易収支(輸出 - 輸入):399億2,200万ドル※( )内は対前年同期比の増減
⇒参照・引用元:『韓国 関税庁』公式サイト「’24年10月の輸出入状況」
輸出金額7,000億ドル達成は無理!
通関ベースですが、10月単月では「貿易収支:31億6,700万ドル」。01~10月累計では約400億ドルの貿易黒字となりました。
ちなみに2024年の輸出はこれで計「5,661億8,800万ドル」。
韓国の産業通商資源部は「いくぞ7,000億ドル」と鼓舞していましたが、残り2カ月で「あと1,338億1,200万ドル」です。
つまり、1カ月当たり「669億600万ドル」必要です。
上掲が(月次の)2024年の輸出金額の推移ですが、ここまで1カ月で輸出金額が「600億ドル」を超えたことはありません。
「1カ月:669億600万ドル × 2カ月」は無理です。
――ですので、産業通商資源部が喧伝してきた「輸出が回復! 2024年は7,000億ドル達成」不可能になりました。
貿易収支は回復したが韓国はまだ不景気のママ
韓国経済にとっては貿易収支こそが大事ですので、(通関ベースですが)2023年と2024年の貿易収支の金額を比較してみましょう。貿易収支の月次の推移は以下のようになります。
↑青が2023年の貿易収支、オレンジが2024年の貿易収支です。現在10月末時点ですので、2024年の11・12月はデータがありません。
上掲のとおり、2023年は貿易収支が01~05月はマイナスで、累計「-275.3億ドル」も赤字を積み重ねました。
2023年の第4四半期から貿易収支が回復し、この流れは2024年も継続して、2024年は貿易収支が赤字になったことはありません。
確かに貿易収支は対前年比で回復しています。ところが、韓国の景気はいまだに悪く、国民の多くが経済の好転を実感できてはいません。
韓国の景気がいまだに「底」という証拠に『韓国経済人協会』(『全国経済人連合会』から改称)が公表しているBSIの推移を以下に引きます。
↑Googleの自動翻訳なので「企業競技実績指数」などとバカな日本語訳をしていますが、正確には「景況判断指数」です。/スクリーンショット⇒参照・引用元:『韓国経済人協会』公式サイト
BSIは「Business Survey Index」の略で、
BSIが100を上回ると ⇒ 前月に比べて景気の見通しが良いことを示します
BSIが100を下回ると ⇒ 前月に比べて景気の見通しが悪いことを示します
というふうに見ます※。
普通「BSI」は「50」を中位とし、50より上なら……、50より下なら……と見るのですが、韓国の場合は中位が「100」になっています。
上掲のとおり、BSIは100の下で推移しており、つまり――景気はずっと悪いのです。
もちろんこれは企業の景況感を示していますが、企業が景気が悪いということは民間も景気が悪いのです。企業の景気が悪ければ、給与だって上がりません。また、企業の景気が悪いということは、民間の消費が悪いとも考えられるからです。
――というわけで、韓国政府の「輸出が増加し、景気は緩やかに回復している」というお題目はともかく、輸出7,000億ドルは達成できませんし、本当に景気が回復しているのかは、もう少しデータを見なければなりません。
(吉田ハンチング@dcp)