韓国の鉄鋼メーカー最大手『POSCO(ポスコ)』の先行きが暗くなってきました。
Money1でもご紹介してきたとおり、中国の国内の不動産市場がガッタガタになり、その分の鉄鋼需要を喪失したため、中国鉄鋼メーカーはその過剰生産性を海外にぶつけています。
なにせ国内需要が8億トンしかないのに、中国の鉄鋼メーカーは10億トンの粗鋼生産能力があるのです。「安値でも赤字でもいいからとにかく売っちゃえ」で輸出しますので、割りを食うのは外国の鉄鋼メーカーです。
外国の鉄鋼メーカーは自国の市場が食い荒らされ、輸出先で鉄鋼製品が売れなくなります。
中国のイナゴを止めなければ外国企業が潰れてしまいます。
利益が出せなくなってきた『ポスコ』
――というわけで、韓国の鉄鋼メーカー『ポスコ』も苦境です。以下は2024年11月14日に公示された『ポスコホールディングス』の連結損益計算書です。
2024年第1~3四半期累計
総売上:54兆8,829億9,9,40万557ウォン
営業利益:2兆781億8,870万8,750ウォン
当期純利益:1兆6,508億5,433万9,311ウォン
一応、営業利益、当期純利益ともに黒字ですが、問題は対前年同比での比較です。以下をご覧ください。
「第1~3四半期」の累計で2023年と2024年の業績を比較すると以下のようになります。
総売上は6.1%減少しただけですが、営業利益が「35.6%」も減少し、当期純利益は「23.8%」の減少です。
何を意味しているかといえば、利益が出せなくなってきた――ということです。
45年間稼働したラインを突如として閉鎖した!
2024年11月19日、『ポスコ』は突如、浦項製鉄所の第1線材工場を閉鎖しました。
この第1線材工場とは線材(ワイヤーロッド)を生産する設備です。線材工場は、鉄鋼の半製品を加工して細い線状の製品(線材)を製造するのですが、45年間継続して稼働してきた施設です。
それを止めたのです。
このライン閉鎖は「動かしてもしゃーない」という意思の表れです(設備が老朽化したという理由もありますが)。
上掲の先記事でご紹介したとおり、中国に造った製鉄所を中国企業に売却することになりましたし、『ポスコ』は中国鉄鋼企業の過剰生産性に苦しめられ、業績に暗雲が垂れ込めてきました。
(吉田ハンチング@dcp)