2024年12月29日、韓国『済州航空』の7C-2216便が務安空港に胴体着陸を行い、オーバーラン。外壁に激突して爆発・炎上し、同便に乗り込んだ181人のうち179人が亡くなりました。
韓国の常ですが「誰の責任でこの事故が起こったのか」の犯人探しが始まっています。
「補償」ではなく「賠償」が正しい
『FNNプライムオンライン』は以下のように書いています。
(前略)
遺族の代表は30日午後、空港で会見を開き、「この事故が人災なのか自然災害なのか明確にして、ふさわしい補償を行わなければいけない」として、政府やチェジュ航空に補償を求める考えを示しました。
(後略)
そう、いつもの謝罪と賠償を要求する――に他なりません。
「謝罪と賠償を求める」ことであり、責任者を見つけて「吊るす」動きです。
韓国では、何か事故や事件が起こった場合、遠慮会釈なく叩いても構わない「誰か悪いヤツ(自分・身内以外)」を探し出そうとします。
見つけたら、フォトライン※に立たせて、謝罪と賠償を要求するのです。
※「フォトライン」というのはメディアが用意する「ここに立たせて全国民に顔をさらさせるための場所」です。
国土交通部が吊るされそう
YouTubeなどでも、今回の事故の原因が何なのかを追求している方がいらっしゃいますが、『NTSB』の調査が終わるまでは安易に結論を出すべきではないでしょう。
『メーデー』民なら誰もが知っていますが、航空機事故の調査というのは、一筋縄ではいきません。裏に以外な事実がたくさんあった――なんてことは普通です。
あらゆる可能性を追求し、それぞれの専門家が実機を調査して事故原因を特定するものです。
どんな専門家か存じませんが、自分が実際に捜査してもいないのに「結論」などと銘打つのはあまりにも粗忽で無責任ではないでしょうか。
――それはともかく、今回の事故では韓国の国土交通部が吊るされそうになっています。
国土交通部が吊るされそう
韓国ではいったん非難のやり玉に挙げられると、全方位で袋叩きにされます。
なぜコンクリの外壁(土手状の構造物)をあんなところに設置したんだ――などが吊るされそうな理由です。メディアも「誰を吊るすべきか」追求の先鋒に立って報道を行っています。
例えば『毎日経済』は以下のように書いています。
(前略)
01日、『毎日経済』の取材を総合すると、ICAO(国際民間航空機関:引用者注)は昨年2月に発表した「グローバル滑走路安全行動計画」を通じて、世界中の空港に対し、最初に取り組むべき行動として滑走路末端の安全区域をICAOの要求通りに整備することを推奨した。また、オーバーランを防止するための着陸制動装置の設置を強調している。
ICAOは、滑走路の末端に位置する着陸帯から240mの長さの終端安全区域を推奨している。
一般的に着陸帯の長さが60mであることを考慮すると、合計300mの安全区域が必要となる。アメリカ連邦航空局(FAA)も1,000フィート(305m)の安全区域を要求している。
しかし、国内の国際空港では、安全区域の長さが滑走路末端から240mにとどまるケースが大半である。
例えば、179人の犠牲者を出した済州航空の事故が発生した務安国際空港では、199mしか確保されていなかった。
国内線のみ運航する地方空港ではさらに深刻な状況であり、最も短い安全区域として、泗川(サチョン)空港が122m、原州(ウォンジュ)空港が90m、蔚山(ウルサン)空港が90mとなっている。
さらに、新たに建設予定の鬱陵(ウルルン)空港、黒山(フクサン)空港、白翎(ペクリョン)空港はわずか45mの安全区域を設ける計画だ。
ICAOは、終端安全区域の長さを十分に確保できない場合、その補完策として最も効率的な着陸制動装置としてEMAS(滑走路逸脱防止システム:引用者注)を挙げている。
このため、世界の空港のうち140か所以上がEMASを設置している。
模範例として挙げられる日本の東京羽田空港では、大部分の滑走路が300mの安全区域を確保している。
それにもかかわらず、第1滑走路の一方の端が海に近いため危険と判断され、2019年にEMASを設置して安全性を高めた。
しかし、国内の空港でEMASが設置されている場所は一つもない。
(後略)
このように、国はどういう指導をしていたんだ――といわんばかりの記事です。しかし「推奨」であるので、どこまで強制性があったのかは疑問です。
こういうときに韓国メディアはどうするか、というと日本の事例を出してくるのです。
上掲のとおり、「羽田空港は推奨したとおりに実施している上に、EMASも設置しているんだぞ」と書いています。日本を例に引くのはヤメたほうがいいと思われますが、これは韓国内の貧弱さを強調するためのテクニックです。
そうして行政が「日本に負けるほどちゃんとやってなかった」と言いたいのです。
国土交通部関連の「誰か」がフォトラインに立たされ、泣きながら謝罪することになっても、驚かないでください。それこそが韓国のいつもの姿です。
(吉田ハンチング@dcp)