韓国はすぐに「なんとかファンド(基金)」を作りたがるヘンな国ですが、そのファンドがうまくいったという話は寡聞にして聞きません。2021年01月25日(月)、韓国メディア『朝鮮日報』に、政府のなんとかファンドのいい加減さを突いた非常に面白い記事が出ました。
記事冒頭では、「金融委員長がいいと賞賛した金融商品」という証券会社の従業員の言葉を信じて3億ウォンを突っ込みましたが――担保資産の水増しが発覚してドボン。「1,050億ウォン」もの資金の返済が2020年01月に中断されてひどい目に遭ったという話が掲載されていますが、本題はその先です。
過去に韓国政府が組成したとする「なんとかファンド」の現状をあげつらっています。以下にまとめてみます。
10兆ウォン規模の「株式市場安定基金」 ⇒ うやむや
「成長支援ファンド」 ⇒ 執行:3兆3,922億ウォン(執行率35%)
9つの「ニューディール・ファンド」 ⇒ 月平均の収益率:13%
(KOSPIの月平均は「15%」)
⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「金融委員長が称賛した金融商品…投資家1,000億飛ばした」
まず、あの「基幹産業安定基金」です。そもそも文在寅大統領が「韓国の七つの基幹産業を救う」とぶち上げたファンドですが「航空産業だけ救う」にトーンダウンして、結局のところ国策銀行『産業銀行』の旗振りで『大韓航空』『アシアナ航空』の合併に向かったので、この基金は何もしていません。
40兆ウォン集めたとしていますが本当にそんなお金があるのか確認できません。優しい『朝鮮日報』は執行金額「2,700億ウォン」としていますが、「執行した」という確証が取れません。というのは、この2,700億ウォンの支援先は『大韓航空』と『済州(チェジュ)航空』ですが、正確には「お金を入れるよ」と表明しただけで、実際に資金を入れたかどうか分からないからです。
資金援助したのが本当だとしても、執行金額が「あると称している40兆ウォンの0.7%にしか過ぎない」のはいったいどうしたことでしょうか。
「株式市場安定基金」は、コロナ禍で大暴落した株式市場を支えるとして慌てて10兆ウォン規模で組成したものですが、その後、株式市場は回復してうやむやになりました。こんな基金は要らなかったのです!
もちろん10兆ウォン程度で株式市場が支えられると考えること自体がどうかしているのですけれども。
「成長支援ファンド」は3年間で「9兆8,173億ウォン」を集めただけまだましですが、「35%」しか執行していません。
これまた文大統領がぶち上げた「韓国版ニューディール」に関係する「ニューディール・ファンド」。収益率は「13%」ですから、なかなかいいじゃないかと思われるかもしれませんが、同期間でのKOSPIの収益率は「15%」あります。なにせコロナ禍による大暴落からの戻りがありましたので。
というわけで、韓国のなんとかファンドの話はし出すときりがありませんが、まあたいていロクなものではありません。
(柏ケミカル@dcp)