先にご紹介したとおり、韓国のお金じゃぶじゃぶ状況は資産価値を膨らませています。韓国史上最低の金利のため、銀行にお金を預けていても増えませんから、うま味のありそうな資産にお金を突っ込むからです。
価値が膨張している資産の中では、最近とみに暗号資産が韓国で注目されており、経済系韓国メディアの紙面でも「暗号資産がー」という記事をよく見るようになりました。
ところが、暗号資産というのは「むはは。TAX MANには見つけられまい」と思われやすいのか「財産隠し」「脱税」に使われることがあります。これは韓国も同じで、最近韓国当局(要は税務署)は暗号資産による税金逃れの摘発に大車輪です。
で、2020年04月23日、韓国メディア『毎日経済』に関連記事が出ました。記事の一部を以下に引用します。
ソウル市の「38税金徴収課」は、主要な暗号資産取引所3カ所で暗号資産を保有している高額の税金滞納者、個人836人と法人代表730人など1,566人を発見したと発表した。
このうち、すぐに差し押さえが可能な676人の860個の口座にある暗号資産を押収した。
676人の名前、生年月日、携帯電話番号などの3つの情報で特定の可能な高額滞納者の押収された暗号資産の評価額だけ251億ウォン(約24億円)に達する。
(後略)
⇒参照・引用元:『毎日経済』「10억 세금 낼 돈 없다던 병원장, 가상화폐 125억 갖고 있었다」
猟犬部隊が脱税者を急襲!
「38税金徴収課」というのは日本人にとっては聞きなれない名称ですが、「大韓民国憲法」の第38条から引いてこの名称があります。
すべての国民は、法律が定めるところにより、納税の義務を負う。
高額税金滞納者を「脱税していないか」「何か税金を支払える財産を隠しているのではないか」と徹底調査し、もし財産を見つけたら徴収して行政処分を行うという組織です。
映画『マルサの女』みたいな話ですが、この「38税金徴収課」は国税ではなく、記事の頭にもあるとおり、ソウル市に属する組織です。
で、この猟犬のような組織が上掲のような成果を上げたわけですが、摘発された251億ウォンのうち、ひとりで最も暗号資産の評価額が大きかったのが、
125億ウォン(約12億円)分保有
だったのです。これまでお金がないと税金の支払いを忌避してきた塾講師Bさん(40代)も「31億5,400万ウォン」(約3億円)分の暗号資産を保有していたとのこと。
ソウル市は暗号資産取引所に照会して高額滞納者の暗号資産保有額についての情報を集めているとのことですので、「むはは。TAX MANには見つけられまい」とはいかないようです。
ただ、暗号資産の場合、当局も容易に現金化できないという難しさがあります。
(吉田ハンチング@dcp)