先の米韓首脳会談の数少ない成果として数えられている「原子力発電における協力」。これを取り付けたことで、文在寅大統領は、両国の協力を通じて海外での原子力発電所建設を推進すると宣言しました(韓国内では脱原発なのに)。
しかし……韓国メディア『朝鮮日報』に興味深い記事が出ました。2021年06月10日付けの記事によれば、韓国政府当局が「聞いてない」事案が発生したというのです。
イラクの原発建設の話は誰がしたの?
中東のイラクでは慢性的な電力不足に悩まされており、これを解消するため原子力発電所の建設を考慮中とのこと。
『アルジャジーラ』『Bloomberg』の報道によれば、イラク政府はロシア『ロスアトム』(国営の原子力発電企業)と韓国政府に打診。韓国政府関係者の話として、
と述べた――とされたのですが……これが裏が取れなかったのです。
『朝鮮日報』同記事によれば、担当部である産業通商資源部に確認したところ、
との回答だったのです。この記事では以降、記者の怒りがつづられています。いわく……。
それには人材も部品も要る。それなのに文政権が脱原発に急に舵を切ったため、人材は会社から流出し、若い世代がこの分野に入ってこなくなり、ノウハウも部品・装備をつくるための技術も失われていく。
このような現状で米韓協力で原発を海外に造るなんてことができるのか。
そもそも担当部が知らないとはどういうことだ?
どうするんだ?――というわけです。
同記事は結びの部分が奮っています。少し長いのですが、以下に一部を引用します。
(前略)
最悪の場合、原発稼働の維持・補修のために、中国の部品を取り寄せて、中国の支援を受けなければならなくなる。原発の稼働と安全さえ中国に依存するエネルギー依存国になるだろう。
今の太陽電池パネルのほとんどは中国から取り寄せている。
風力タービンのブレード(羽根)も、欧州や中国産への依存度が高い。最近、江原三陟市風力発電団地の場合も、タービンは国内産だが、ブレードは中国産を使用した。
100年の大計というエネルギー産業がこのように、中国などの外国に依存するようになれば国の存続さえ危うくなる。
これが文在寅政府、脱原発政策4年の凄惨な結果だ。
記者の魂の叫びでしょう。韓国の原発産業が中国に依存することになれば、合衆国も協力しなくなると思われます。文大統領在任中はこのままいくしかありませんが、果たして次期大統領の時代になれば、韓国の原発産業の状況は少しはましになるのでしょうか。
⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「원전 건설도 수출도 나몰라라, 원전 고장나면 중국에 맡길 판」
(吉田ハンチング@dcp)