韓国では、政府、家計の負債が異常な速度で増加していますが、今回は企業負債の件です。
2022年03月04日、『韓国銀行』が「2021年第4四半期 預金取扱機関産業別貸出金」というデータを公表しました。
これによると、2021年第4四半期、韓国の企業と自営業者が金融会社から借りた貸し出し金の残高は、
1,580兆7,000億ウォン(約150.2兆円)
(前年末比:187兆1,000億ウォン増加)
(前年末比:13.4%増/日本円で17.8兆円の増加)⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト
となっています。
2020年末から約17.8兆円も負債を増やしていますが、これは無茶苦茶な数字で、『韓国銀行』が統計を取りだした2008年以降で最大の増加です。
第3四半期末と比較しても50兆1,000億ウォン(約4.8兆円)の増加です。
2021年に増加した187兆1,000億ウォン(約17.8兆円)のうち、驚くなかれ78.2%に当たる「146兆4,000億ウォン」(約13.9兆円)は、サービス業の企業・自営業者への貸し出しです。
人の移動が制限されたため、小売・飲食・宿泊などを生業とする皆さんが大打撃を受け、借り入れを増やさざるを得なかったと推測できます。
サービス業への融資残高は1,027兆2,000億ウォン(約97.6兆円)となりました。
懸念されるのは、コロナ禍が継続しているため、借金返済の重みに耐えかねて、弱い企業・自営業者からデフォルトを起こすことです。これが大量に発生すると金融機関の不良債権が膨らみ、健全性が毀損されます。
03月末に予定されている「償還、元利返済猶予措置の終了」がくると、不良債権が想定よりはるかに大きな津波となって押し寄せるかもしれません。
韓国の金融当局にはまさに細心の管理が求められる局面です。
追加で「韓国らしいなぁ」というデータを一つご紹介します。
不動産業への貸し出し増加幅が歴代最大の「44兆3,000億ウォン」(約4.2兆円)に達しているのです。
韓国政府は2020年終わりから、不動産価格の上昇を抑制するために、住宅ローンの融資規制を実施しました。2021年はとにかく融資を絞ったのです。売る側(仲介する側)である不動産業者もその影響は受けたはずです。
なのになぜ?と思われるでしょうが、この借り入れた金額の多くが住宅用不動産ではなく、商業用不動産に流れました。つまり、「それなら商業用だ!」と金融機関から借り入れてお金を突っ込んだ不動産業者が出たわけです。
まあいいですけれども……。
(吉田ハンチング@dcp)