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韓国「最低賃金を引き上げた」のはいいけれど……世界第3位の袋小路

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韓国では文政権下で最低賃金が急上昇しました。


↑2017~2022年韓国の最低賃金の推移。パーセント表示は文在寅が大統領に就任した2017年を100としての数字です。

この最低賃金の上昇は結局雇用を大量に雇用を喪失させる結果となりました。最低賃金の上昇によって中小規模の事業主が人を雇えなくなったからです。

初年度から大失敗だったのは明白だったのにもかかわらず、文政権は最低時給を上げ続けました。さすがに文在寅さんの公約だった「1万ウォン」にはできませんでしたけれども、文大統領の5年間で42%も上昇したのです。

なにをやっているんだ、という話なのですが、あの『全国経済人連合会』から文政権が5年間で行ったことの異常性を指摘するリポートが出ています。

気合いの入ったリポートでなかなか面白い内容ですが、まず以下をご覧ください。

⇒参照・引用元:『全国経済人連合会』公式サイト「韓国の平均賃金に対する最低賃金比率(49.6%)、OECD 30カ国中3位」

2016年から2021年で最低賃金がどのくらい上昇したのかを比較したものです。韓国は「44.6%」も上昇しており、G5平均の11.1%を圧倒です。

また、興味深いのは以下のデータです。2020年規準ですが、各国の中位賃金と最低賃金の比較をしたものです。中位賃金というのは、全労働者の賃金を金額順に並べたときの中央値です。

最低賃金がこの中位賃金の何%に当たるのかを比較しています。この割合が高いほど、最低賃金が中位賃金に近いわけですから、最低賃金に近い賃金で働いている人が多いということになります。

韓国は以下のとおり62.5%で調査対象のOECD30カ国中の第7位。G5平均の48.8%を大きく上回っています。ちなみにOECD平均は「54.8%」です。

⇒参照・引用元:『全国経済人連合会』公式サイト「韓国の平均賃金に対する最低賃金比率(49.6%)、OECD 30カ国中3位」

また、中位賃金ではなく、平均賃金に対する比で見ると「49.6%」で調査対象となったOECD30カ国中で第3位に踊りでます。全然名誉な話ではありません。

つまり、韓国という国は、文政権がしゃかりきになって最低賃金を上げたけれども、雇用は減るし、それでも最低賃金水準で働く人が他国と比べて多い――というわけです。

なんだか歪んだ話です。

尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権が発足しましたが、「最低賃金を下げます」なんてことは恐らくできないでしょう。そもそも、労働の対価たる賃金には下方硬直性があって、いったん上げたら下げるのが容易ではありません。

また、Money1でも何度もご紹介していますが、韓国では労使間の交渉がとても難航し多くの場合うまくいきません。給与水準が高いのはいいことかもしれませんが、そのために企業の競争力は失われますし、外国企業が忌避する原因にもなります。

文政権のおかげで韓国はずいぶんな難所に入り込んでしまったといえます。

(吉田ハンチング@dcp)

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