韓国自動車メーカーは電気自動車で他メーカーを先んじていると自認しています。しかしながら、電気自動車にシフトすればするだけ、これまで形成してきた、いわゆる「自動車産業の生態系」が縮小する可能性が高いのです。
『韓国経済新聞』が興味深い調査を実施しています。
自動車部品製造メーカー83社の2022年第1四半期の業績を全数調査した結果、その営業利益が「2021年第1四半期:1兆289億ウォン」から「7,695ウォン」へと25.2%も急減した――というのです。
同紙の報道によれば、83社のうち、
・25社:赤字
(上記25社のうち14社が赤字継続、11社が赤転)
という結果だったのです。
韓国自動車産業が基盤から壊れる可能性
こうなったのには大きく3つの理由があります。
①韓国の自動車産業が弱体化傾向にあること
②電気自動車への大きな転換
③原材料価格の高騰
まず①です。
Money1でも何度もご紹介しているとおり、韓国の自動車産業は弱体化を続けています。(言わなければいいのに)マジノ線としてきた自動車生産台数は「400万台」から「350万台」に減少。さらに2021年にはその350万台も割り込みました。
以下が2021年の国別「自動車生産台数」です。
韓国は「自動車の生産台数で日本を抜く」などと喧伝してきたのですが、現実はとてもそれが実現できる状況とはなっていません。
日本を抜くどころか生産台数は右肩下がりを続けるばかりです。
この生産台数の減少はそのまま、自動車部品製造メーカーを直撃するわけです。生産台数が減れば部品の需要も減りますので。
その上、②です。
「電気自動車では内燃機関の自動車に比べて部品点数が30%ほど減少する」といわれていました。部品の点数が減れば、それだけ部品製造メーカーも不要になります。
つまり、これまで完成自動車メーカーの発展と共に歩いてきた部品メーカー、韓国の自動車産業の生態系が再編されようとしているのです。完成自動車メーカーが弱体化し、電気自動車へのシフトが継続される限り、この流れは続きます。
さらに③です。下請けのメーカーは原材料価格が高騰しても容易に納品価格に転嫁できません。そのために利益は減少し、場合によっては赤字に転落するというわけです。
このように、韓国の自動車部品メーカーは非常に危険な状況となっています。韓国メディアによれば、韓国の自動車部品メーカーは20万人以上の雇用を創出している、としています。業界が縮小していくと、当然ですが雇用は失われてしまいます。
韓国の自動車産業はその足元、基盤から崩れようとしていると見ることもできるのです。
(吉田ハンチング@dcp)