KOSPI(韓国総合株価指数)の下落はひどいことになっていますが、韓国メディアに嘆き節の記事が出ています。
『毎日経済』の記事から一部を以下に引用してみます。
深まる景気低迷の懸念に全世界の証券市場が弱気の流れを見せているが、韓国証券市場の不振が目立つ。
(中略)
韓国取引所と連合インフォマックスによると、KOSDAQは先月末893.36で、直近の取引日である24日、750.30で16.01%下落した。
同期間のKOSPIは2,685.90から2,366.60に11.89%下がった。
全世界代表株価指数40のうち、KOSDAQとKOSPIの下落率はそれぞれ1位と2位を記録した。
世界の株価指数40の中で、05月末~06月24日の下落率は、KOSDAQが1位、KOSPIが2位だったとしています。
面白いのは、
ブラジルIBOV:-11.39%
オーストリアATX:-10.78%
アルゼンチンMERVAL:-10.49%
韓国KOSPI:-11.89%
韓国KOSDAQ:-16.01%
という結果を受けて、「物価上昇率60%・基準金利52%のアルゼンチンより収益率低調」という小見出しが踊っていることです。
「物価上昇率60%、基準金利52%にもなっているアルゼンチンより悪いってなんだ」というわけですが、こればかりは投資家の判断なので仕方ありません。
例に引かれるアルゼンチンもとんだとばっちりです。
興味深いのは、記事内にある証券会社の人のご意見です。以下に引用します。
(前略)
キム・ヨンファン『NH投資証券』研究員は、「韓国は他の株式市場に比べてより大きな衝撃を受けているが、これは景気後退時の輸出鈍化の懸念、外国系資金の流出持続、個人投資心理萎縮による買収主体の失踪(原文ママ)などが作用するため」
と分析した。
また、
「アメリカ合衆国連銀が07月にも金利75bp引き上げを予告しただけに、07月にも米韓基準金利の逆転が避けられない」とし
「これはウォンドル為替レートの上昇と外国系資金の韓国資本市場離脱の懸念につながるという点で投資心理を不安にする要因」と診断した。
(後略)
証券会社のキムさんの分析は的確だと思われますが、
・外国系資金の流出持続
・個人投資心理萎縮による買収主体の失踪
(失踪がちょっと面白い)
と、ろくなことがありません。
また、次のアメリカ合衆国の『FOMC』(Federal Open Market Committeeの略:連邦公開市場委員会)でまた0.75%(=75bp)の政策金利上昇があれば、韓国との金利差が拡大する可能性があり、そうするとさらなる資金流出が起こります。
現象としてウォン安・株安・債券安が現れます。通貨安になると為替差損が発生するので、株式や債券を持っていても仕方がないので売りますが、これがまた(売却代金をウォンからドルへ両替しますから)ウォン安を進行させます。
要するに韓国も合衆国に負けずに金利を上げるしかないのですが、そうすると積み上げた家計負債、企業負債が爆発する可能性が高まります。
どうするんでしょうねえ――という状況なのです。韓国金融当局の手腕に乞うご期待です。
(吉田ハンチング@dcp)