韓国の半導体産業が酷寒にさらされています。世界的なIT関連需要が減少し、韓国が誇るメモリー半導体の価格が下がり、売れないわ価格は下がるわで業績が低迷。
韓国の輸出は18%ほどを半導体が支えていますので、半導体企業が低迷すると韓国経済の屋台骨も揺らぐ――と因果は巡ります。
半導体産業の業績が好転しないと韓国経済も困るのですが、現況は大変よくありません。
上掲は産業通商資源部が公表したデータの中から「2022年の半導体輸出額」の推移をグラフにしたものですが、第4四半期になって急激に半導体の輸出が減少していることが分かります。
「マジノ線」などと称するから破られるのだと思わないではいられませんが、1カ月の「半導体の輸出額」が「100億ドル」を割るというのは、韓国にとって大きな痛手です。
生産を続けて売れなければどうなるかというと……在庫がたまります。
韓国メディア『ソウル経済』がリポートしていますが、『SKハイニックス』など韓国半導体企業の在庫は20週分、つまりは約5カ月分ある――となっています。
適正在庫がどのくらいかというと、通常5~6周程度とされますので、通常の3~4倍ほど在庫が積み上がっていることになります。在庫レベルが10年ぶりに最大などといわれるのはこのためです。
会社で経理を担当されている方はお分かりになると思われますが、在庫がここまでたまると経営陣は青ざめるはずです。家電なら「在庫一掃セール」ができるでしょうが(実際『サムスン電子』は行いました)、半導体の場合は無理です。そもそもパソコン、サーバー、スマホまで需要が低迷しているというのに、メモリー半導体の在庫をどうやって一掃できるというのでしょうか。
『SKハイニックス』の場合はすでに減産に入っているものと見られています。また、投資も絞る方向です。
盧鐘元(ノ・ジョンウォン)『SKハイニックス』事業担当社長は、2022年第3四半期の業績発表の場において「現在の水準では施設投資は50%程度を少し上回る水準の減少を考えている」「設備投資とインフラ投資の割合も減るだろう」と述べていました。
一方の『サムスン電子』ですが、こちらは強気の姿勢を崩していません。ラスベガスで開催された『CES 2023』において韓宗熙(ハン・ジョンヒ)副会長が「人為的な半導体減産が投資縮小はない」と強調しました。
ただし、一部の韓国メディアでは「さすがに『サムスン電子』も第2四半期には生産調整することになるのではないか」という観測記事を出しています。
半導体の輸出が回復しないことには韓国経済も大変困ったことになります。第1四半期がどのような結果になるのか、ご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)