ようやく買い手が『KGグループ』に決まって、再建への道筋が見えたかという韓国『双竜自動車』。
次のハードルは「債権者との合意」です。『産業銀行』などの政府系金融機関はともかく(債権が回収できなくても飛ぶことはないので)、問題は中小の下請け企業などの持つ債権です。
『双竜自動車』から見れば「債務」なわけですが、これをどのくらい返済できるのかです。『双竜自動車』の再建を信じて部品などを納入し、支えてきたわけですから回収できないと大変困ったことになります。規模の小さい会社にとっては死活問題です。
2022年07月27日、『双竜自動車』は『KGグループ』の投資内容を反映した再生計画を、ソウル回生裁判所(破産処理専門の地方裁判所)に提出したと明らかにしました。
弁済対象となる債権は総額「8,186億ウォン」。
担保債権が2,370億ウォン、租税債権が515億ウォンあって、これは法規定によって全額弁済しなければなりません。
残り5,301億ウォンですが、大株主であるインド『マヒンドラ&マヒンドラ』の貸与金などの債権が「1,363億ウォン」あるので、これを引くと残り「3,938億ウォン」。
同社の再生プランによれば、このうち現金弁済するのは「6.79%」、残りの「93.21%」は出資転換する――としています。
簡単にいえば、約7%の約267億ウォンは現金で弁済しますが、約3,671億ウォンは「皆さんが『双竜自動車』に出資した」とします――ということです。
債権が『双竜自動車』の株式に換わるのです。「出資」なので返済しなくても構わないことになります。
このプランに対して、さっそく「双竜自動車商取引債権団」が「現金弁済率の低さ」に不満を表明。
大統領室に「尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領あての請願」を出しました。「『双竜自動車』が提示した債権の弁済率が常識的で公正ではない」としています。
また、
「商取引債権団の下には50人以下の小規模2・3次協力会社が約1,000社ある」
「商取引債権団の協力会社は常識を超えた低い弁済率でローンの返済と利子負担による連鎖倒産を心配する状況だ」
と訴えています。中小企業にとってはお金で返済してもらわないと困る、連鎖倒産が起こりかねないというわけです。
債権団の承認が得られなければ、『双竜自動車』の再建が前に進まなくなります。この騒動がどのように決着するのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)