韓国では「年末の特別赦免」のシーズンです。
韓国は年に2回、08月15日(光復節)と年末に特別に恩赦が行われるというヘンな国ですが、2022年末には元大統領の李明博(イ・ミョンバク)さんが赦免されることが決定しました。
2022年12月23日、韓国の法務部は「赦免審査委員会」を開催。李明博(イ・ミョンバク)さんを特別赦免のりストに入れたことが明らかになったのです。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領も出席する27日開催の国務会議で承認されれば、28日に赦免です。
そもそも李明博(イ・ミョンバク)元大統領は2020年10月、大法院(最高裁判所に相当)で懲役17年となって拘置所に収監されましたが、体調を崩して病院に移送。病院にいる間は刑の執行が一時停止の状態となっていました。
今回の赦免が実現すると、実刑・懲役17年となった収賄と横領の罪についてはチャラになります。刑期としてあと15年ほど残っていたのですが帳消しです。
李明博(イ・ミョンバク)さんについては、「2021年末に赦免」(このときは朴槿恵(パク・クネ)元大統領が赦免されています)、「2022年の光復節で赦免」などの観測が出ていたのですが、ここまでかかりました。
邪推すればですが、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領を自死に追いやった張本人と目されている※ので、左派・進歩系の勢力が「李明博(イ・ミョンバク)の赦免を許すまじ」と反対していたのではないでしょうか。
※盧武鉉(ノ・ムヒョン)さん、およびその周辺の人物に対する検察の調査は李明博(イ・ミョンバク)政権が成立した後に本格化しました。
今回の赦免リストに入ったという情報を受けて、さっそく『共に民主党』から反対の声が上がっています。『ヘラルド経済』の記事から一部を以下に引用してみます。
23日、李明博(イ・ミョンバク)元大統領が年末特別赦免対象に含まれると「積廃復元」と反発した。
パク・ソンジュン広報担当者は国会ブリーフィングで「李明博元大統領赦免を国民は決して容認しないだろう」とし「この前大統領に対する赦免は国民統合にはならない。多数が反対している」と指摘した。
朴広報担当者は、「四面が断行すれば、李元大統領に宣告された罰金130億ウォンのうち、未納の82億ウォンが免除される。このような特恵を与えるのが尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の公正と常識か」とし「国民の意志に反する特別赦免は大統領の権限乱用であり、積廃復元」と強調した。
(後略)
日本人からすると、李明博(イ・ミョンバク)大統領といえば「天皇陛下に対する不敬な発言」と「竹島」なわけですが、李明博(イ・ミョンバク)元大統領を赦免することは、積弊を復元することだそうです。
以下の記事でご紹介しましたが、韓国でやたらと人が捕まり、やたらと恩赦になるのは、古田博司先生によれば「濫囚」「濫赦」といい、これは李氏朝鮮以来の伝統です。
メカニズムとしては、やたらに人が捕まる「濫囚」、やたらと人が罪に落とされる「濫刑」の反動として、やたらに人が恩赦する「濫赦」があるのです。
保守勢力としては李明博(イ・ミョンバク)さんを取り返したいのかもしれませんが、日本人としては生暖かい目で見守るだけです。
(吉田ハンチング@dcp)