韓国「労働組合をおとなしくさせろ!」

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韓国は労働組合の力が大変強い国です。国民がこれを許してきた歴史があります。

朴正煕(パク・チョンヒ)・全斗煥(チョン・ドファン)大統領の独裁政権に対する抗議活動を(学生運動圏と共に)行ってきた――という正当性が信じられているからです。

しかし、国民から「貴族労組」などという批判が出るほど力を持ちすぎるのは問題です。暴力的であり、国民からは不当に見える要求すら通そうとします。「虐げられ、搾取されるかわいそうな労働者」と装っているが、「実は韓国で一番力を持っているのは労働組合ではないか」という指摘すらあります。

尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、「労働組合の腐敗も公務員腐敗、企業腐敗と一緒に撲滅すべき3大腐敗」と宣言しました。

これまで、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、文在寅と左派・進歩系の大統領の下、猛威を奮ってきた労働組合の力を制限しようというのです。

この政府の動きとして、「個別の労働組合が脱退するのを阻止する『上部団体規約』を廃止する」手続きに着手しました。

例えば韓国の『民主労総』は傘下に多くの部会、企業系労働組合がありますが、いったん加盟すると簡単には抜けられない構造となっているのです。

規約内に集団脱退を禁じる条項があり(韓国メディアではこれを『毒素条項』と書いています)、脱退を試みるとその組合の役員の除名、また訴訟という強硬手段を取ることも辞さず、なのです。

政府はこの脱退阻止の規約を違法と判断し、これを取り除くべく行政措置に踏み切るつもりです。

確かに自由意志で参加し、自由意志で脱退することができないのは問題です。

2022年末にはポスコ支部が金属労総から除名されるという事案がありましたが、これは脱退に絡んで起こったことです。韓国政府・雇用部はこの除名を違法と判断し、是正命令を出しました。

すでに昨年から労働組合の脱退禁止規約については政府は目を光らせていたのです。

Money1でも先にご紹介したことがありますが、労働組合に加入していると上層部の(北朝鮮親派でもある)『民主労総』の支配を受け、「THAAD配備反対」「北朝鮮と融和を」といった自分たちの信条とは全然関係のないスローガンを叫ばされたりします。

タイムリーに紹介しそこないましたが、『民主労総』のスタッフが北朝鮮からの指示を受けていたという情報が出ています。

そのため、特に若い世代からは「脱退も自由にできない」「私たちは上部組織のATMじゃない」「なぜそんなスローガンを掲げるのか」といった批判の声が上がっているのです。

尹錫悦(ユン・ソギョル)政府はこれまで放置されてきた貴族労組の問題にも取り組もうとしています。韓国経済に負の影響を与えるものなので適切な対応は必須ですが、どこまでやれるかです。「権力と戦ってきた正当性」が売りで、労働組合を基盤にした政治勢力もありますから、切り崩すのは用意ではありません。

お手並み拝見です。

(吉田ハンチング@dcp)

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