韓国の建設業はもう駄目なのか「12年ぶりに到来した極端な不況」

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2024年05月07日、韓国の『韓国建設政策研究院』が興味深いリポートを出しました。

そもそも業界紙的な「ブリーフィングペーパー」ですが、市場動向の分析として「建設業界は反発可能な景気低下か? 衰退期への突入か? -収益性が低下し、廃業と倒産は増え、新規参入は少なくなる-」というタイトルのリポートを出しているのです。

Money1でもしつこくご紹介しているとおり、韓国の建設業は深刻な不景気に陥っています。不動産PF(プロジェクト・ファイナンス)で不良債権が積み上がり、高金利の中、資金調達も困難になっているのです。

韓国の唯一の内需といってもいい不動産業界が不景気になると、お金も回らなくなり消費が伸びません。消費が伸びないということは経済成長もとどこおるのです。

ご注目いただきたいのは、リポート内にある以下のデータです。

建設業者の廃業申請は右肩上がりで増加しており、その代わりに新規業者としての登録は増加していません。「食えなくなっている」ことを端的に示しています。

建設産業知識情報システム(KISCON)によると、2023年の建設業廃業申請は合計3,562件(総合:581件/専門:2,981件)で業種を問わず、直近10年間で最も高い数値を記録。

また、2023年建設業登録は2020年比で17.6%も減少。特に総合建設の参入が大幅に減少しています。

これも先に少しだけご紹介しましたが、首都圏と地方の格差が大きく広がっています。同リポートによると、

2023年の首都圏の廃業申請件数「1,500件」は、2020年の1,148件に比べて30.7%増加しましたが、地方の2023年廃業申請件数は「2,062件」で、2020年の1,278件に比べて61.3%増加

首都圏と比較して2倍近くも廃業申請が増加しているのです。

問題は、韓国の建設業はこの逆風をはね返して「回復できるのか?」です。

同リポートは以下のように書いています。

「もちろん、2010年代初頭のグローバル金融危機以降、持続的な景気悪化で総合建設業の業者数が一時的に減少したこともあり、今回の現象も12年ぶりに到来した極端な不況と見ることができるが、長期的に見ると、建設産業のライフサイクルが成熟期を過ぎて衰退期に入る前兆現象と解釈することもできる

これから急速に人口が減っていく韓国ですから、当然不動産需要も減少します。

「建設産業のライフサイクルが成熟期を過ぎて衰退期に入る前兆現象」として、「12年ぶりに到来した極端な不況」と見た方がいいのではないでしょうか。

結論はいつも同じです――韓国の夏は終わりました。

ただし、一部業種の廃業と業種転換登録が含まれているので実質的な廃業企業数を意味するものではありません。

(吉田ハンチング@dcp)

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