2024年12月03日22:27頃、韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が急遽、非常戒厳を宣布。約6時間後、国会の解除要求決議を受けて、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は戒厳を解除しました。
しかし、この戒厳宣布によって政局は急転直下。14日には大統領弾劾訴追案が可決され、大統領の職務は停止されました。
憲法の規定によって、韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理(首相に相当)が大統領代行となっていますが、国会の過半数を占めている『共に民主党』は、韓悳洙(ハン・ドクス)首相も弾劾しようとしています。
この弾劾騒動によって、韓国のCDSは上昇しています。
2024年12月24日時点で、韓国債5年物のCDSのスプレッドは「37.13bp」。
以下をご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用:以下同)。
上掲のとおり戒厳宣布騒動があったその日にCDSのスプレッドは急上昇。なにせ、海外メディアでも「21世紀にもなって何やってんだ、あの国は!」と大きく報道されましたので、CDSが上昇して当然です。
CDSというのは、簡単にいえば保険みたいなものなので、このスプレッドが上昇するというのはそれだけ、その債券の「リスクが高い」と判断されているということです。
ゴールド免許の人よりブルーの免許の人の方が自動車保険料金が高いのと同じです。
ご注目いただいきたいのは、2024年12月17日にもまた、CDSのスプレッドが急上昇している点です。これは、14日(土)に大統領弾劾訴追案が可決したのを受けてのこと。
韓国『共に民主党』(と一部のメディア)は「韓国民主主義の勝利」なんて喜んでいますが、市場は「弾劾訴追案可決したからこれで韓国が安定した」なんて、これっぽっちも見ていないことを示しています。
CDSスプレッドが上昇したということは、安定どころか、市場が「リスクは高まった」と見ている証拠です。
韓国の素晴らしい民主主義の成果は、市場では全く評価されていません。「韓国の信用リスクは増した」が市場の見方なのです。残念でした。
ちなみに、韓国の過去の金融危機の際にCDSスプレッドがどのような数字だったのか?――ですが、以下のようになります。
同じ韓国債の5年物で、チャートを月足にしたものです。
2008~2009年の「韓国通貨危機」時には、CDSスプレッドが急騰し、(月足で)最高値は「432.50」。
CDSのスプレッドは一般的に「400」を超えたら「危機」といわれますが、市場の観測がいかに正しいかが分かります。実際このとき韓国は、アメリカ合衆国・中国・日本の支援によってデフォルトを免れました(事実上のドボン騒動です)。
現在は「37.13」なので、今日明日、韓国がデフォルト騒動を起こすわけではありませんが、韓国の政局混乱は続いています。市場が韓国のソブリン・リスクをどう判断するのかは、継続して見る必要があるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)