2025年03月14日、韓国の企画財政部が「2024年の年間海外直接投資動向」を公表しました。
これは韓国から外国へ直接投資がいくらあったのかのデータです。これは韓国の対外資産を増やすことになりますが、キャシュアウトを意味します。
2020~2024年の推移は以下のようになっています。
2020年は対前年比「-11.5%」で「582.1億ドル」。これはコロナ禍で海外投資が減少したためです。
翌年には「769.2億ドル」で「+32.1%」。コロナ禍からの戻りで激増しました。
2022年にはさらに増加して「817.0億ドル」に達しました(対前年比+6.2%)。
ところが2023年に「-20.3%」も急減。2024年には、さらに「-1.8%」で「639.5億ドル」まで減りました。
面白いのは業種別に見たときの海外直接投資の増減です(2023年 ⇒ 2024年)。
韓国経済を支えている「製造業」での対外直接投資が「-21.6%」と激減しています。
なぜ韓国の対外直接投資は2023年に激減したのか?
コロナ禍からの戻しで回復してきた海外直接投資が2023年に20.3%も激減した理由は何でしょうか?
複合的な理由が考えられますが、まず第1に「グローバル景気減速と金融引き締め」です。
2022年後半から世界的にインフレ抑制のための金利引き上げが進み、各国の金融環境が厳しくなりました。アメリカ合衆国では2023年07月26日には政策金利が「5.50%」に達しました。
インフレ対策のためですが、合衆国・欧州の金利上昇により、企業の資金調達コストが上昇し、そのために新規投資が鈍化したことが考えられます。
次に通貨安です。ウォン安が進行したために外国への投資のための資金が余計に掛かることになり、これを嫌気したことが考えられます。
さらには政治的な要因です。米中対立が深化して韓国企業が対外投資に慎重になったこと、またバイデン政権によるインフレ削減法、Chips法による海外投資のモチベーションが2022年には高まったものの、2023年になってそれが一段落したこと。
最後に韓国が不景気であること――です。
実際国内への投資も停滞しており、これがGDP成長率への下押し圧力となっているのです。
(吉田ハンチング@dcp)