日本でも一部ネットで「韓国政府が1997年のアジア通貨危機時に負った借金を30年目に完済」的な情報が出ています。
それというのも、韓国大統領になりおおせた李在明(イ・ジェミョン)さんが。
間違っています。まだ完済していません。2027年に完済予定――というのが正しく、債務の合計は約169兆ウォンです。
大統領府が大統領府が李在明(イ・ジェミョン)さん本人のSNS投稿として――、
1997年のIMF通貨危機当時、国家の破綻を防ぐために設けた公的資金の償還が、来年度予算で完了します。
約30年前、国が最も困難だった瞬間を国民の皆さまの力で乗り越えたように、30年間、変わることなく力を尽くしてくださった国民の皆さまのおかげで、締めくくることができるようになりました。
その時間を忘れません。
国民の皆さま、本当にお疲れさまでした。
――と掲載しました。最後の「国民の皆さま、本当にお疲れさまでした」が効いたのか、「もう完済した」と思った人が多かったかもしれません。
なにせタイトルが「30年ぶりに、為替危機の最後の借金を返済」ですから。
以下は2026年07月21日に韓国の金融委員会が出したプレスリリースです。2026年06月時点で、
累計投入額:168.7兆ウォン
累計回収額:123.0兆ウォン
回収率:72.9%
――となっています。
2026年第2四半期の公的資金運用状況
2026年06月末までの累計で総額123兆ウォンの公的資金を回収(回収率72.9%)
2026年第2四半期中の公的資金回収額は総額5,901億ウォン金融委員会(委員長:イ・オクウォン)は、2026年第2四半期の公的資金運用状況を発表した。
1997年11月から2026年6月末までに総額123兆ウォンを回収し、同期間中に投入された公的資金「総額168兆7,000億ウォン」を基準として、2026年06月末までの累計公的資金回収率は72.9%である。
※1997年の経済危機に伴う金融機関の不良整理のため、政府保証債券などを財源として造成
2020年末 2021年末 2022年末 2023年末 2024年末 2025年末 2026年6月末 累計回収率 69.5 70.4 71.1 71.4 72.0 72.5 72.9 2026年第2四半期中の公的資金回収額は5,901億ウォンであり、
❶金融会社の構造調整過程で預金保険公社などが取得した株式の配当金(5,601億ウォン※)と、❷旧整理金融公社(現KR&C〔ケイアール・アンド・シー〕、預金保険公社の子会社)に支援した貸付金の利息収入(300億ウォン)である。
※❶(預金保険公社)ソウル保証保険:1,591億ウォン
❷(政府†)『企業銀行』1,681億ウォン、『産業銀行』1,633億ウォン、『輸出入銀行』696億ウォン(計:4,010億ウォン)†政府が公的資金を用いて『国策銀行』に出資した持ち分に伴う配当金
今後も政府と預金保険公社などの関係機関は、金融会社の持ち分など保有資産の効率的な管理と円滑な売却を通じ、公的資金の償還が支障なく行われるよう、引き続き努力していく予定である。
⇒参照・引用元:『韓国 金融委員会』公式サイト「2026년 2분기 공적자금 운용현황 – 2026년 6월말 누적 총 123.0조원 공적자금 회수(회수율 72.9%)」
1997年アジア通貨危機時に韓国政府はドボン騒動を起こし『IMF』に救済を求めました。韓国では「IMF危機」と呼ばれることが多いですが、韓国政府は事実上のデフォルト※に陥りました。
※「デフォルトした」は事実ではありません。外貨準備高が激減して対外支払いがショートする危機に陥って緊急で『IMF』にすがり、なんとかセーフになったので、韓国の皆さんが「デフォルトしてねーよ」と鼻の穴を膨らませるのは――まあ、正しいです。
しかし、ドル不足で二進も三進も行かなくなっていたのは事実です。
1997年12月には使用可能な外貨準備が枯渇し、後年の『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)の検証によれば「12月18日時点」でわずか「42億ドル」しかなく、先物取引などのコミットメントを控除すると「マイナス」に陥っていたのです。
このとき韓国支援で突っ込まれた資金(1997年12月)は、国際金融支援パッケージ:総額584億ドルにも及びました。その構成は――、
『IMF』:210億ドル
『世界銀行』:100億ドル
『アジア開発銀行(ADB)』:40億ドル
二国間支援(第2防衛線※):234億ドル
小計:584億ドル
――です。
誤解されている方がいらっしゃるかもしれませんが、今回李在明(イ・ジェミョン)さんが「完済します」と言ったのは、584億ドルのことではありません。例えば、『IMF』からの借入については、2001年08月23日に完済済みです。
完済することになる――というのは、通貨危機当時に経営不振に陥った金融機関の再編と金融システムの安定化のために使われた資金です。
1997年の通貨危機後、韓国政府は金融機関の破綻処理・資本増強、不良債権処理など金融システムの安定化を進めるため、政府保証債券などを財源として公的資金を造成し、累計168兆7,000億ウォンを投入しました。
その後、この公的資金のために生じた巨額の債務を長期的に処理するため、2002年に公的資金償還の仕組みを整備し、政府財政や金融業界の負担、公的資金の回収金などによって返済を続けてきました。
残っている債務は2025年末時点で15兆712億ウォンです。
その返済計画は――、
2026年:7兆1,486億ウォンを返済
2027年:残り7兆9,226億ウォンを返済
――で、これが2027年「完済」となる予定です。
(吉田ハンチング@dcp)






