「世界最高の造船能力を持つ韓国の造船所は継続的にラブコールを受けている」⇒ だから「米国によるカツアゲ」だってば。

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韓国では造船分野で米韓の協力は深まっています。

韓国メディアでは「造船産業はこれで勝者になる」と自画自賛していますが、それほど単純な話ではありません。それどころかむしろ逆です。

アメリカ合衆国が造船分野で韓国に協力を求めているのは、自国に造船インフラがほとんどなくなってしまい弱体化しているからです。困っているから韓国にニコニコしているのです。

『朝鮮日報』が面白い記事を出してますので、まず同記事から一部を以下に引きます。

(前略)
欧州以外でも同様の動きが続いている。

日本とインドは先月、日本の艦艇設計・技術とインドの生産能力を活用した次世代艦艇の共同開発に乗り出す方策を推進することにした。

日本とインドの造船所で、必要に応じて相互に艦艇の修理・整備を行う方策も検討する。

オーストラリア海軍は今年04月、日本の『三菱重工業』に改良型もがみ型護衛艦3隻の建造を委ねた。3隻は日本で建造して納入するが、後続艦艇は西オーストラリア州で現地建造し、オーストラリアの造船業を支援するという内容が盛り込まれた。

◇韓国も現地造船所と手を組み受注競争

世界最高の造船能力を持つと評価されている韓国の造船所も、継続的に「ラブコール」を受けている。

『HD現代重工業』が先月、ペルー国営SIMA造船所で共同建造した上陸支援艦「チンボテ」を進水させたことが代表的な事例だ。

『HD現代重工業』が設計と技術支援を担当し、SIMA側がブロック製作と組み立て、試験・試運転を担当した。HD現代とSIMAは、潜水艦の共同開発・生産にまで協力範囲を拡大することにした。

『ハンファオーシャン』も今年03月、ギリシャ最大の造船所であるONEX(オネックス)と協力することにした。

ギリシャ海軍が発注する潜水艦事業に共同入札し、地中海や黒海など、ギリシャ周辺国を含む第三国市場でも共同で艦艇事業を推進する計画だ。現地にMRO(維持・補修・整備)拠点も構築する。

合衆国と進めている造船協力プロジェクト「MASGA(マスガ)」も欠かすことはできない。

引用者注:MASGAは「Mutual Action for Shipbuilding Growth Alliance」の略です。

ハンファはすでにフィリー造船所を買収しており、米海軍艦艇を建造するオーストラリアのオースタルの米国事業部門の買収も進めている。

HD現代重工業も米国現地の造船所買収など現地投資を検討しており、米国最大の軍艦建造企業ハンティントン・インガルスとも技術協力に乗り出す計画だ。

⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「”군함 시장 잡아라”… 국경 넘는 조선 동맹」

世界最高の造船能力を持つと評価されている韓国の造船所も、継続的に「ラブコール」を受けている――と自画自賛を最高峰に発揮しています。

何が問題なのか――をご紹介します。

「造船受注が増えるぞ! わーい」では済まない

韓国で現在広がっている「造船産業は米韓協力の最大の受益分野だ」という見方には、かなり重要な留保が必要です。

受注機会が増えること自体は事実ですが、「韓国の造船所に大量の仕事が落ちてくる」という話と、「韓国企業が合衆国の造船業を再建するために資本・技術・人材を投入する」という話が、かなり混同されているからです。

タイムリーに紹介しそこないましたが、07月23日にワシントンで開設されたが米韓造船パートナーシップセンターについて、韓国の産業通商資源部自身が説明している内容を見ると、1,500億ドル規模の造船協力は、

・合衆国造船所の買収・拡張・近代化
・合衆国でのサプライチェーン構築
・合衆国人造船労働者の養成
・合衆国造船所への韓国の生産技術・自動化技術の導入
・米韓共同研究開発
・合衆国内での艦艇・商船建造

を含む巨大な「合衆国造船業再建計画」です。韓国政府自身が「韓国の世界最高水準の造船技術を合衆国東西海岸の造船所に持ち込み、1,500億ドルの投資を進める」と説明しています。

「合衆国市場への入口が開いた」という韓国造船業界の期待そのものは理解できます。しかし、長期的には話が違います。

合衆国の方針は(当然ですが)韓国造船業を強くすること(利益をもたらすこと)ではなく、「合衆国の造船業を強くすること」です。

これはラトニック商務長官(食わせ者)の発言にも露骨に出ています。

“it is vital for America to produce ships in America.”
「合衆国が船を合衆国で造れるようになることが成果だ」

――と言っています。ここを見落としてはならないでしょう。

要するに、韓国に求められているのは合衆国における造船産業の復興です。

「韓国が有している技術とノウハウを合衆国に移植せよ」という話であって、露骨な言い方をすれば「韓国は自己資金を使って、合衆国の造船産業というライバルを造らされている」――のです。

韓国企業は「合衆国内にサプライチェーンを作る」「合衆国人労働者を訓練する」「合衆国造船所を自動化する」ところから始めなければならなしません。

『ハンファオーシャン』が買収したフィリー造船所が象徴的です。

2026年第1四半期には赤字となり、それでも『ハンファオーシャン』は約5,310億ウォン規模の設備投資を進めています。

これは「注文が増えて儲かる」というより、まず巨額のお金を突っ込んで、合衆国の造船所を競争可能な状態まで持っていかなければならない――という事業なのです。

韓国で時折見られる

合衆国の造船業が壊滅状態だから韓国造船業に巨大な特需が来る

――という言説は(結果を見るまでは分かりませんが)あまりにもいい加減な「鵺か喜び」に見えます。

合衆国の考えは、「自分たちが造れないから韓国に造ってもらおう」ではなく、「自分たちが再び造れるようになるために韓国の金・技術・人材を利用しよう」なのです。

韓国政府は、2025年の関税交渉でこのカードを切ってしまったため、1,500億ドルという途方もない規模の対米造船投資を約束してしまいました。

韓国企業にとって重要なのは、「受注額がいくら増えたか」ではなく、合衆国で要求される設備投資・人材育成・現地調達・技術移転まで差し引いて、最終的にどれだけ利益が残るか――です。

さあ――利益は残ることになるでしょうか。

もう何度だっていいますが、合衆国がやっているのは「カツアゲ」です。

「お前をぶん殴るためにトレーニングをする。トレーニング代金はお前が出せ」――という話であって、韓国政府はこれに「分かったよ」と言いました。

(吉田ハンチング@dcp)

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