国際的格付け会社『Fitch(フィッチ)』は、2022年03月21日に特別リポート「Global Economic Outlook – March 2022」を公表しました。
コロナが収束せず、ウクライナ戦争の勃発によって世界的インフレが推し進められ、またロシアに対しての経済制裁もあってサプライチェーンの混乱がさらに深まり経済成長を抑制する、としています。
『フィッチ』はこのような背景の下に、世界の経済成長見通しを引き下げました。
2022年の韓国のGDP成長率を従来の「3.0%」予測から「2.7%」に下方修正しました。
『フィッチ』は以下のような点を指摘しています。
・ウクライナとロシア間の紛争によるエネルギー価格の上昇が家計消費と企業活動の障害物になる
・今年のグローバル需要の減少も輸出部門を圧迫するだろう
・サプライチェーンにおける支障が緩和されるまでより長い時間を要する可能性がある
・韓国の物価上昇率は昨年初め以降、エネルギー、食品などほとんどの品目に対して広範囲な価格圧力により急激に上昇した
(現在も尋常ではない物価高の最中:筆者注)
韓国のインフレについては、『フィッチ』は「来年初めごろまでは3.5%を上回るインフレで、これは次第に下落する」と見立てています。つまり、今年中は諦めろというわけです(まだ03月だというのに見切りが早いですな)。
『フィッチ』は触れてはいませんが、気がかりなのは、『韓国銀行』はインフレ対策もあって金融引き締め方向で苦心惨憺しているのに、新政権はお金をばらまこうとしている点です。明らかに相反する動きで、この韓国内の金融当局の戦略目標不一致は、インフレ対策を遅延させることになりそうです。
同時に、このお金のばらまきは韓国政府の負債を増加させます(恐らくほとんどを赤字国債で賄うので)。また、政府から財政余力を奪い、何かあったときに資金を投入することが困難になるでしょう。
読者の皆さま、韓国の経済成長率が果たして「0.3%」下方修正の「2.7%」を達成できるかどうかです。『フィッチ』の見方はまだ甘いかもしれません。
⇒参照:『FitchRating』公式サイト「Global Economic Outlook – March 2022」
(吉田ハンチング@dcp)