あんたたちは何をやってるんだ――という話です。
2023年11月14日、韓国の金融投資協会が2023年11月10日時点での信用融資取引残高を公表したのですが、これが「17兆1,173億ウォン」となりました。
何度もご紹介しているとおり、韓国金融当局は2023年11月05日(日)に「明日06日から空売りは全面的に禁止」と発表。この時点では信用取引残高は「16兆5,767億ウォン」でした。
それが06~10日で5,406億ウォンも残高が増えたのです。
信用取引というのは「手持ちのお金を膨らませてお金を突っ込める」手法で、韓国の場合、証券口座に入れた委託保証金の最大約2倍までの取引が可能です。
これがいわゆるレバレッジを利かせるというヤツで、デイトレを行う個人投資家なら普通に使います。なぜそんなことができるかというと、その分は証券会社から資金を借りるのです。韓国でよくいわれる「借金取引」というものです。
何が韓国で起きたかというと「空売り禁止だから株価は上がるぞー!」となって、みんなが信用取引に走ったのです。――で、信用融資取引の残高が5日で5,406億ウォンも増加しました。
まあ好きになさればいいのですが、問題は株価が下がった場合です。
株価が下がった場合には、委託保証金が足りないという事態に陥ることがあります。この場合には、証券会社から「委託保証金が足りませんので入金してください」という通知が来ます。
この通知がいわゆる「マージンコール」(追証)です。
追証がかかってお金が振り込めればいいですが、お金がなくてできない場合、期限がきたら強制決済されます。つまり、損失確定です(この強制的に行われる売買を反対売買といいます)。
現在のKOSPIチャートを見てみましょう(チャートは『Investing.com』より引用:日足)。
空売り全面禁止の初日、株価はドンと上がりました。皆さん買いにいったのでしょう。しかし、以降は下げています。
これが「上がるぞー!」の目論見を外して「下げ続ける」と、どうなるかというと……追証がかかる事態が想定できます。追証をクリアできない場合には反対売買が行われて損切(損失確定)です。
「空売りが禁止になれば上がるんじゃなかったのかー!」という阿鼻叫喚の地獄絵図ですね。
これが起こったのかどうかは反対売買の金額を見ていれば分かります。
個人投資家の皆さんからすれば「絶対に下げないでくれー」なのですが、残念なことに市場に「絶対」はありません。
※信用融資取引の多くは二次電池関連銘柄に集まったようですので、もし阿鼻叫喚の地獄絵図が訪れるかどうか気になる方は、関連株価を見ていてください。
(柏ケミカル@dcp)