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韓国・尹大統領が「空売りはしばらく禁止だ」

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2023年11月06日から韓国株式市場では、全銘柄が空売り禁止となっています。

ネイキッドショートではありません。ネイキッドショートは韓国でも元から禁止です。

これについて、海外からは「ばっかじゃなかろか」といわんばかりの指摘が相次いでいるのですが、とりあえず韓国の皆さんからはあまり否定的な声は上がっていません。

Money1でも先にご紹介したとおり、韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領がそもそも「空売り禁止」派です。

2023年11月14日、龍山大統領府で閣議を主宰し、

「先週から違法的な市場妨害行為を防ぎ、韓国株式市場と1,400万人の個人投資家を保護するために空売りを一時的に禁止した」

「一部では、今回の措置でMSCI先進国指数への編入が難しくなるのではないかという懸念もあるようだ」

と発言。

11月05日の日曜日に「明日から空売り全面禁止だ」としたことを、あくまでも「韓国株式市場と個人投資家と守るためだった」と強弁。

一方で、これで『MSCI』の先進国市場に分類される目がなくなった――という点には未練を見せています。


↑個人投資家がプラカードを持って街頭に立ち、空売り禁止を叫ぶという不思議な国です。

以下の発言が面白いのです。

「アメリカ合衆国とは異なり、韓国の証券市場は変動性が大きく、個人投資家の割合が非常に高い」

「違法空売りの問題をこれ以上放置することは、公正な価格形成を難しくして個人投資家に大きな損失を与えるだけでなく、証券市場の信頼低下と投資家の離脱を招く可能性がある」

としました。

今回の空売り全面禁止によって「韓国株式市場への信頼低下」「外国人投資家の離脱」が進むかもしれない点については懸念しないのでしょうか。

念のために書きますが、韓国の空売り禁止は「例外」が認められています。実際、データを確認していただければ分かりますが、空売り全面禁止となった06日も空売りは発生しています。

韓国取引所によれば、以下のとおり空売りが推移しました。

11月06日 空売り発生金額
KOSPI:326億ウォン
KOSDAQ:1,649億ウォン

これは、Market Maker(韓国語では市場造成者)あるいはLiquidity Provider(流動性供給者)による空売りです。

略称「MM」、略称「LP」どちらも機能は同じです。市場に流動性を供給することです。売買プレーヤーの「買い」「売り」指値に対して株式を提供することで流動性を確保するのがその役割です。

MMは簡単にいえば証券会社で、株式の売買を円滑にするために存在します。韓国取引所と契約するとMMになり、上場会社あるいは上場指数ファンド(ETF)と契約を結ぶとLPになります。

彼らは売買の両方に対応しなければならず、また保有していない株式でも借りてきて調達しなければならないシーンに直面します。プレーヤーの買いに対して、株式を借りてきて売ると、これが空売りになるというわけです。

韓国の個人投資家は、MM、LPの空売りも禁止しろと声を上げていますが、そんなことをしたら流動性は低下します。

そもそも空売りというのは流動性を高めるための手段であり、すでに個人投資家、外国人投資家共に空売りはゼロになってしまいました。この上、流動性をさらに絞るなど、とても褒められた措置ではありません。

(吉田ハンチング@dcp)

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