韓国企画財政部の「外国為替平衡基金債券」(略称「外平債」)についてですが、先にご紹介したとおり2021年下半期に15億ドル(約1,645億円)規模で発行の予定です。
念のために書きますが、これは外貨建てです。
「外平債」は、韓国政府が為替介入のための資金を入手するために発行する債券ですが、実は、この件については韓国メディア『韓国経済』が興味深い記事を出しています。
格付け評価でファインプレー?
2021年07月25日付けの記事ですが「国の信用評価でファインプレーの韓国…勢いをかって最大15億ドルの外平債を発行」というタイトルです。
世界的格付け企業『ムーディ-ズ』『S&P』『フィッチ』の3社の韓国に対する評価が、全部下がらなかったので、この勢いで外貨建ての外平債を発行するんだ!という内容です。
つまり、もし評価が下がっていたら、外平債の金利を高くしなければならなかったのに助かったのです。
しかも、アメリカ合衆国はまだ金利を上げていません。
金利が安く済む条件が今ならそろっています。――なので、チャンスだ!15億ドル発行だ、というわけです。
ある意味、非常に正直な記事でしょう。
しかし、外貨準備が本当に潤沢にあれば(特に現金たるDeposits)、無理して外平債を発行する必要はないはずです(ロールオーバー用でなければ)。ただ、これから来るウォン安局面で通貨防衛のために使用するドルを用意しているのでは、という考え方はできるかもしれません。
下半期に外平債を発行する理由は、以下の4つが考えられるのではないでしょうか。読者の皆さんはどれだと思われるでしょうか。
(今なら金利が安く済む!以外に理由はない)
②ロールオーバー用
③ドルがないので調達
④通貨防衛の準備
他にも選択肢があればぜひご教示くださいませ。
この外平債の発行によって外貨準備高が増えるはずです。そもそも債券発行による借金(負債になる)ですが、入手した現金が資産に組み入れられるからです(増えた分をすぐに投資すればDeposits(預金)はSecurities(証券類)などになる)。外貨準備は資産の部しか見ませんので。
外平債が発行された月の外貨準備がどうなるか、にもご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)