「だから『韓国銀行』現総裁の李昌鏞(イ・チャンヨン)さんは信じられる」という話です。
2024年01月15日、韓国の金融通貨委員会は、11日の定例会議において「2024年度対政府一時貸出金限度および貸出条件」を議決しました。
これは、先進国にあるまじき「政府による中央銀行からの短期借入金」に歯止めをかけるものです。
先にご紹介しましたが、韓国政府は国税収入が見込みより大きくショートしたため(11月時点で約50兆ウォン)、2023年は117兆ウォンも『韓国銀行』から短期融資を受けました。
短期借入を行い、借りては返しの自転車操業だったわけです。
中央政府が中央銀行から直接融資を受けてお金を回すなどという先進国はありません。いくらケンチャナヨな国だとしても、財政規律はどうなっているんだ、という話です。
短期にお金を入手する方法としては、財政証券を発行するという方法があるのですが、恐らく面倒なので「『韓国銀行』から借りよう!その方が早いもんね」になったものと思われます。
今回議決された条件では、
政府は一時借入金の残高が財政証券残高を超えないように管理しなければならない
という文言を新たに追加。また、
政府は平均借入日数及び借入累計額を最小化するために努力しなければならない
との文言も加えたとのこと。
しかし、韓国政府の財政は火の車ですので、果たしてこれで短借体質が改まるのか?は疑問です。
1.インフレーションのリスク
中央銀行は通常、通貨供給量や金融政策を調整して価格安定を維持し、インフレーションを抑制する役割を果たしています。政府が中央銀行から直接融資を受けると、通貨供給が急増し、インフレーションのリスクが高まる可能性があります。
2.財政的誠実性の維持
政府が中央銀行から容易に融資を受けることが許可されると、政府は財政的な誠実性を欠いた支出を行い、財政赤字を簡単に補填できる可能性があります。これは長期的な経済安定性を損なう可能性があるため、制約が設けられます。
3.中央銀行の独立性
中央銀行は政府の直接的な政治的圧力から独立して運営されるべきです。政府が中央銀行から直接融資を受けることは、中央銀行の独立性を脅かす可能性があり、金融政策の効果を低下させる可能性があります。
上掲のような理由があり、政府と中央銀行は普通、法的枠組みを通じて独立性を保ちつつ、財政と金融政策を分離しています。政府は通常、債券の発行や税収などの方法で資金を調達し、中央銀行は通貨供給と金融安定性を維持する役割を果たします。
(吉田ハンチング@dcp)