そもそも韓国の左派・進歩系の人士というのは「反米」が基本です。韓国大統領に成りおおせた李在明(イ・ジェミョン)さんも、その政権も反米であり、親北・親中国が基本路線。
ボンクラの安圭伯(アン・ギュベク)さんが国防部長(長官)を努めていることもあり、韓国・アメリカ合衆国の軋轢は高まっています。
2026年08月05日、李在明(イ・ジェミョン)さんは外交部、統一部、国防部、国家報勲部を対象とする業務報告を主催。
この中で面白い発言を行っていますので、以下に拾います。
「米軍へ供与した土地の返還交渉があまりにも遅れているようだ。常識的に考えて、あまりにも話にならないことだ」
「われわれが巨額の金を投じて平沢基地をすべて建設してやり、入居したにもかかわらず、もともとそれ以前に明け渡すことになっていた場所を、いまだに明け渡していないところが多くある。
明け渡しはしたものの、事後手続きが済んでいないとして、事実上われわれが使えずにいるところもある。これは本当に問題ではないのか。1年や2年のことでもない」
「巨額の金を米軍の海外基地のために支援した代わりに、もともと使っていた敷地を引き渡すことになっていたのではないか。
いまだにあれこれ理由をつけて引き渡さず、引き渡したのに何か一つずつ条件をつけて使えないようにしているのは、本当に問題だ」
「常識的に考えて、あまりにも話にならないことなので言っている」
さっさと土地を返還しろ――と言っているわけですが、具体的のはどこのことでしょうか?
李在明(イ・ジェミョン)の指摘はこの基地のこと!
李在明(イ・ジェミョン)大統領が2026年08月05日の発言で念頭に置いていた未返還地として、最も具体的に確認できるのは京畿道北部の「Camp Stanley(キャンプ・スタンレー)」と「Camp Mobile(キャンプ・モービル)」です。
李在明(イ・ジェミョン)さん自身が2025年12月18日の国防部業務報告でも同じ問題を取り上げ、その際に安圭伯(アン・ギュベク)さんにこの2カ所を名指ししています。
まず、キャンプ・スタンレーです。

京畿道議政府市高山洞にある基地で、京畿道の公式資料によれば、返還対象面積は約245万8,000平方メートルですが、2022年02月に返還されたのはわずか1,000平方メートルにすぎず、基地全体の返還は現在も遅延中です。
2023年10月には北側基地の部分返還がSOFA(Status of Forces Agreementの略:地位協定のこと)案件として正式に採択されましたが、2026年04月時点でも「北側基地返還交渉を継続」とされています。
ここが重要です。
キャンプ・スタンレーは単に「まだ米軍が普通に大規模部隊を駐屯させているから返せない」という話ではありません。
基地内の一部施設、とくにヘリコプター関連の給油・補給機能などが残っていることが返還を妨げてきました。
つまり、大部分の部隊機能を平沢方面に集約した後も、一部の軍事機能を理由として広大な土地全体の返還が進まない、というのが韓国側の不満です。
2025年12月18日、李在明(イ・ジェミョン)さんは「京畿北部では給油基地、食料倉庫の運営などを理由に返していない米軍基地が10年を超えている」と批判したのに対し、安圭伯(アン・ギュベク)さんは「議政府のキャンプ・スタンレーと東豆川のキャンプ・モービルの2カ所は来年、積極的に進める」と答えています。
もう一つは、キャンプ・モービルです。

京畿道東豆川市保山洞にあり、もともとはヘリコプター飛行場・補給輸送基地でした。京畿道の公式資料によると、基地は2008年に閉鎖されています。
にもかかわらず、2016年に返還合意が成立した後も、2020年12月に返還されたのは「Parcel 1」約5万470平方メートルだけで、残る「Parcel 2」約15万8,295平方メートルは2026年04月現在も未返還です。
これは李大統領の「もともと明け渡すことになっていたのに、いまだに明け渡していない」「1年や2年でもない」という発言にモロに当てはまります。
キャンプ・モービルは2008年に閉鎖され、2016年には返還の方向まで決まっているのに、18年たった2026年でも基地の約4分の3が返還されていないわけです。
京畿道はいまも公式に「キャンプ・モービル Parcel 2返還要請」と記載しています。
Camp Red Cloud(キャンプ・レッドクラウド)もあります。

こちらはいさささが事情が違います。
キャンプ・レッドクラウドは議政府市にある旧米第2歩兵師団司令部で、2022年2月に約83万6,000平方メートルが韓国側へ返還済みです。
したがって、08月05日の「まだ返していない土地」の代表例には該当しません。 しかし、李大統領が続けて言った、
「明け渡しはしたものの、事後手続きが済んでいないとして、事実上われわれが使えずにいるところもある」
という第2の問題定期には該当し得ます。
キャンプ・レッドクラウドでは返還後に土壌汚染調査が行われ、2026年03月には議政府市が国防部に対して汚染土壌の浄化措置命令を出しています。
返還されても直ちに再開発できず、土壌浄化、都市計画変更、土地処理などに時間がかかっているわけです。
この問題の根っこには、在韓米軍基地の返還が単なる「鍵を渡して終わり」ではないことがあります。
米韓間ではSOFAに基づく「共同環境評価手続き(JEAP=Joint Environmental Assessment Procedure)」を経て、環境調査、汚染状況の確認、必要な浄化措置、返還条件などを協議します。
韓国環境部も、返還予定基地についてこのJEAPに従って環境調査を実施し、それを基礎に返還交渉を行うと公式に説明しています。
ここで長年の難題になっているのは、「どの程度の汚染なら合衆国が浄化義務を負うのか」です。
韓国側の国内環境基準と、SOFA上で合衆国側が主張してきた「KISE(Known, Imminent and Substantial Endangerment=既知の、差し迫った、重大な危険)」の基準には隔たりがありました。
環境部自身、SOFA上では「すべての汚染を合衆国側が韓国国内基準まで浄化する」という仕組みではなく、KISEに該当するかどうかを米韓が協議すると説明しています。
なにやら豊洲市場移転問題みたいな話ですが、環境調査と浄化費用の負担をめぐる協議が返還を長期化させる主要因の一つになっているのです。
また、龍山基地も依然として完全返還されていません。

米韓は2004年の龍山基地移転協定(YRP)と連合土地管理計画(LPP)に基づいて、ソウル・龍山などの米軍機能を平沢のキャンプ・ハンフリーズなどへ移すことにしました。
ところが、2022年06月時点でも返還されたのは龍山基地全体約203万平方メートルの約30%でした。
さらに2026年06月、韓国政府は「米軍移転平沢支援法」の期限を2030年末まで延長しており、その理由として残る龍山基地の移転、返還地の環境浄化、売却などがまだ完了していないことが明記されています。
まとめます。
要するに、李在明(イ・ジェミョン)さんの発言はかなり具体的な背景があります。
平沢キャンプ・ハンフリーズへの大規模移転を韓国側が巨額の費用を投じて実施したにもかかわらず、議政府・東豆川・龍山などの旧基地の一部が、残存する給油・補給機能やSOFA上の環境・返還手続きを理由として長期間返還されない。さらに返還された土地も汚染浄化などで長く使えない――これが問題の実体です。
「進めます」というお返事(笑)
国防部と外交部は恐縮した模様で、安圭伯(アン・ギュベク)国防部長官は、
「米軍側が対話に臨む姿勢がやや消極的なところがあり、引き続き促している。よりスピード感を持って進める」
――と回答。趙顕(チョ・ヒョン)外交部長(外相に相当)は「共に努力してきたが、さらに拍車をかける」と補足しました。
さあ、そんなにうまいこと進むでしょうか――「まずはお手並み拝見といこうか」です。
(吉田ハンチング@dcp)





