韓国大統領に成りおおせた李在明(イ・ジェミョン)さんが、またぞろ『X』の自身のアカウントに面白い投稿を行いましたのでご紹介しておきます。
残念ながら、今は前政権が作った「成長の端境期」なので、まずは成長回復にさらに注力しなければなりません。
だからといって、福祉を後退させたわけではありません。
持続的な成長を回復できず、0%成長となり、ついにはマイナス成長に陥ることになれば、二極化はさらに拡大し、さらには福祉の縮小が続くことにもなりかねません。
成長を放棄して福祉を拡大するということはあり得ず、成長と福祉を同時に拡大することは理想的ではありますが、非現実的です。
やむを得ず、現在は成長に集中してパイを大きくする時だと考えています。
満足するのは難しいでしょうが、福祉の拡大にも努めています。それどころか、「過度な福祉ポピュリズム予算だ」という非難まであります。まだ1年が過ぎただけですので、もう少し時間をいただきたいと思います。
⇒参照・引用元:『X』李在明(イ・ジェミョン)公式アカウント
これは単独の投稿ではありません。
『ハンギョレ』の社説記事を『X』で共有し、その社説に対する李在明(イ・ジェミョン)自身の反論・釈明(というか言い訳)を付けたものです。
共有された元記事は、2026年09月01日付『ハンギョレ』の、
「[社説]820兆ウォン、成長中心のスーパー予算、『二極化緩和』をさらに補強すべき」
――というタイトルです。何を述べているかというと、
「李在明政権の820.9兆ウォン予算は成長投資に偏っている。二極化対策、福祉・分配にももっと予算を回すべきではないか」
――と「保健・福祉・雇用分野の予算が前年比9.3%増」では少ないと批判しているのです。
面白いのは、『ハンギョレ』が「전통 산업과 달리 인공지능·반도체와 같은 첨단 산업은 ‘낙수 효과’가 작다는 점도 고려해야 한다.(伝統産業とは異なり、人工知能・半導体のような先端産業は『トリクルダウン効果』が小さいという点も考慮しなければならない)」と書いている点です。
ちょっと脇道に逸れますが、批判が的外れです。
「上を豊かにすれば、その利益が自然に下へ滴り落ちて社会全体が豊かになる」という素朴な(あるいはウブな――とでも言いますか)意味でのトリクルダウンを、確立した経済法則のように扱うことはできません。
実証研究でもかなり厳しい結果があります。
『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)の2015年の分析※によると、上位20%の所得シェアが増えると、その後の経済成長はむしろ低下する。一方、下位層・中間層の所得シェア増加は成長率を高めるとの結果を示し、「富裕層が豊かになっても利益はトリクルダウンしない」と結論づけています。
※2015年,IMF Staff Discussion Note Causes and Consequences of Income Inequality: A Global Perspective
つまり、あるのやないのや分からんトリクルダウン効果という概念を使って、政策を批判するのがそもそもおかしいということです。

Money1でも先にご紹介したとおり、半導体産業の「雇用誘発係数」が小さいのは確認されています。しかし、これはトリクルダウンとは関係ありません。
「トリクルダウン」は通常、富裕層、大企業、成長部門などの所得・利益・成長が、投資、雇用、賃金、消費などを経由して、より広い階層へ「滴り落ちる」という「議論」を指します。
厳密に定義された単一の経済学的指標ではありません。
「雇用誘発係数の大小」と「所得・利益が社会各層へどう分配されるか」は別の話です。
そもそも未来の食い扶持を稼ぐために先端産業に多くのお金を突っ込まなければ――というモチベーションが強いので他より投資金額が大きくなるのは当然のことです。
李在明(イ・ジェミョン)さんは、『ハンギョレ』のこのような社説など「トリクルダウン効果って(笑)。今年は2026年ですよ」とスルーすれば良かったのです。
今回の本題、李在明(イ・ジェミョン)さんの投稿に戻ります。
注目ポイントは、
残念ながら、今は前政権が作った「成長の端境期」なので、まずは成長回復にさらに注力しなければなりません。
――です。現在の経済的低迷を尹錫悦(ユン・ソギョル)政権のせいにしています。
「成長を放棄して福祉を拡大することはあり得ない」
「現在は成長に集中してパイを大きくする時だ」
――という考え方そのものは、おかしな経済政策ではありません。
しかし、就任以降まったく何の経済的成果を上げていないのを、前政権のせいにしているというのは、「逃げ」であり「責任転嫁」でしょう。
(吉田ハンチング@dcp)






