韓国の金融当局が不動産市場への資金流入を遮断する動きに出ています。先に銀行で新規不動産ローンの停止に動いているという件をご紹介しましたが、今度は証券市場です。
証券会社が投資家に対する資金提供を絞ろうという動きに出ています。
『韓国投資証券』は、2021年08月23日08:00から株式・した新規の預託証券担保融資を中断しました。
預託証券担保融資というのは、保有している株式・ファンド・株価連係証券(ELS)・債券などを担保にお金を貸すことです。
これには、韓国の証券市場で「信用取引」が史上最大規模に膨らんでいることが背景にあります。
信用取引を使って資金を倍にできる
株式取引をされない方はご存じないでしょうが、信用取引を使うと自分が実際に持つ資金の何倍もの取引が行えるのです。
なぜそんなことができるかというと、証券会社からその分の資金を借りられるからです。日本の場合には「約3倍」まで資金を膨らませることがでできます。これがいわゆる「レバレッジを効かせる」というものです。
例えば、日本では100万円の資金があれば、333万円3,333円までの取引が可能です。この100万円は委託保証金といい、信用取引をするためのいわばカタです。
また、取引金額の何パーセント保証金を持っていなければならないかを「委託保証金率」といいます。
日本の場合には、この委託保証金率が30%となっているわけです。「100万円 ÷ 30% = 333万3,333円」なりますね。
韓国の場合には、この委託保証金率が50%で、つまり実際にある資金の2倍、1,000万ウォン資金があれば2,000万ウォンまでの取引ができるわけです。
言い換えれば、1,000万ウォンの資金があれば、2,000万ウォン分の株式などが保有できるわけです。これを担保にお金を借りることができれば、手持ち資金(資産)よりずっと大きな金額を融資してもらうことが可能です。
韓国政府は蛇口を閉め始めた
『朝鮮日報』の記事では、金融投資協会のデータを引いていますが、これによると2021年08月18日時点で信用供与残高は「25兆6,111億ウォン」(約2兆3,818億円)で史上最高額とのこと。
それだけ証券を取引しているわけですが、今回の証券会社の動きは、これを担保にした融資を絞ろうとしているわけです。
つまり、レバレッジを効かせて倍に膨らんだ資産(証券)を担保にお金を借りるわけですから、手持ちの資金よりも大きなお金を借りられるわけで、これを遮断しようというのです。
これも不動産市場に流れ込むお金を絞るための施策です。韓国政府は蛇口を閉めようとしているわけです。あまりに急速に資金流入を止めるとまずいと思われるのですが、どのような結果になるのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)