2026年09月04日、韓国政府がホルムズ海峡への兵力派遣を検討している――という報道が出ました。
Money1でも先にご紹介した――アメリカ合衆国のトランプ大統領が漏らした「韓国の李在明(イ・ジェミョン)が“No Thank You”と言いやがった」とつながっている案件です。

まずホルムズ海峡への兵力派遣についてどのように報じられているかをご紹介します。韓国メディア『朝鮮日報』の記事から一部を以下に引きます。
大統領府は04日、ホルムズ海峡への軍戦力派兵に関連し、「朝鮮半島での即応態勢についてさまざまな検討を行っており、対備態勢に大きな支障が生じない範囲内で動く余地がある」と明らかにした。
北朝鮮への即応態勢に支障を与えない範囲内でホルムズへの派兵は可能であり、関連事項を検討中だということだ。
大統領府関係者はこの日、記者団と会い、「これまでホルムズ海峡の自由な航行のための実質的な寄与について何度も話してきたが、実際、実質的な寄与には軍事的寄与も含まれる」と述べ、このように語った。
トランプ大統領と韓国政府との相互作用を見てみましょう。
時系列を整理してみます。
2026年04月17日
韓国政府
「ホルムズ海峡の航行の自由を保障するため、実質的寄与を行う」
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2026年05月13日
韓国政府
「段階的寄与」の中に軍事資産派遣も選択肢として提示。 安圭伯(アン・ギュベク)国防相(当時)は訪米中、韓国が段階的に寄与策を検討すると説明し、❶支持表明、❷人員派遣、❸情報共有、❹軍事資産提供を例示。
※ただしこの時点では、韓国軍の直接参加について米韓間で突っ込んだ協議はしていない――と説明していました。
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2026年06月15日
韓国政府
米・イラン間の合意を受け、国防部は現地の脅威状況、戦力派遣、作戦能力などを考慮して「具体的な寄与方法を検討する」と表明。
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2026年08月16日(現地時間)
トランプ大統領
「韓国は助けてくれなかった」
「韓国側は『No thanks!(結構です)』と言った」
⇒ 韓国の協力不足に対する不満を公然と表明。
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2026年08月17日
韓国政府
従来の「実質的寄与」から一歩踏み込み、初めて「軍事的寄与も含めて合衆国と協議している」と明言。
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2026年08月30日
トランプ大統領
韓国が協力しなかったことについて改めて不満を表明し、
「このことは覚えておけ。本気だ」と発言。
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2026年09月4日
韓国政府
P-8A海上哨戒機・補給艦「昭陽」艦・EOD(爆発物処理班)など、具体的な派遣戦力を検討。大統領府も「実質的寄与には軍事的寄与を含む」と明言。

↑韓国海軍の補給艦「昭陽」。2018年に就役した韓国海軍最大級の補給艦で1万1,000トン。
――となりますので、経緯から見て、ホルムズ海峡への兵力派遣に対して非協力的だった韓国政府にトランプ大統領が08月16日(現地時間)に不満を表明。
それでも韓国政府が具体的な行動を起こさなかったので、08月30日にトランプ大統領が再度不満を明らかに。
やっと09月04日に韓国政府が「兵力派遣を検討している」と明らかにしました。トランプ大統領の脅しが効いたものを見られます。
実際の派兵には国会の同意がいる
しかし、実際の派兵のためには「国内法上の手続きを考慮しなければならない」とのことで、『朝鮮日報』の記事に登場する関係者は、要するに「国会での協議」「国会の同意」が必要――としています。
韓国憲法第60条第2項は、次のように定めています。
국회는 선전포고, 국군의 외국에의 파견 또는 외국군대의 대한민국 영역안에서의 주류에 대한 동의권을 가진다.
(国会は、宣戦布告、国軍の外国への派遣または外国軍隊の大韓民国領域内への駐留について同意権を有する)
したがって、政府が韓国軍を国外に「派兵」する場合、大統領・国防部だけで最終決定して実行することはできず、国会の同意を得なければならないというのが憲法上の原則です。
※ただし、厳密にいえば憲法上必須なのは「国会の同意」。「国会との協議」は、その同意を得るまでの政治・議会手続きであって、憲法が独立した要件として「協議」を要求しているわけではありません。
韓国としては兵力派遣をしたくないですから、この作業を盾にとって時間稼ぎをするでしょう。一種の遅退戦術です。
一方の李在明(イ・ジェミョン)さんは2026年09月06日~09日にフランスを国賓訪問します。2026年09月04日、大統領府の魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長が発表しました。
フランスはホルムズ海峡の自由航行確保をめぐる国際的取り組みを主導してきた国の一つで、韓国大統領府は、ホルムズへの韓国軍派遣問題が仏韓首脳会談で議題になる可能性を否定していません。
韓国政府が09月04日の時点でホルムズ派兵について急に具体的な説明を始めたことと、わずか2日後から始まる李在明(イ・ジェミョン)さんのフランス国賓訪問は、外交日程上かなり近接しています。
少なくとも、08日のマクロン大統領との会談を前に、韓国側がホルムズ海峡への軍事的寄与についてある程度具体化しておく必要がある状況になっている――というのは邪推でしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)





