2026年10月02日、アメリカ合衆国のシンクタンク『ランド研究所』が興味深いリポートを出しました。
韓国が直面している「米韓戦略投資投資」、その中の造船投資に関わる内容です。
⇒参照・引用元:『ランド研究所』公式サイト「Practical Implementation: A Phased Agenda for U.S.-ROK Shipbuilding Cooperation」
長い文書なので全文和訳はいたしませんが、重要な指摘が含まれていますので、もしご興味があれば、ぜひ上掲URLにアクセスして読んでみてください。
この文書が描いているのは、トランプ政権とアメリカ合衆国議会が、合衆国海軍再建の方法を巡って根本的にぶつかっている状態であることです。
そして韓国造船業は、その争いのど真ん中に巻き込まれています。
トランプ政権は外国での戦闘艦建造を推進したい
まず、トランプ政権は本当に「外国で戦闘艦を造る」ことを求めています。この点については、明確な資料が出ています。
2026年7月21日、政府の行政管理予算局(略称「OMB」)は下院案「FY2027 NDAA」に反対する声明で、政権の優先立法案について、
外国造船所で水上戦闘艦2隻+非戦闘補助艦2隻を建造する権限を海軍に与える
――ものだと明記しています。
その目的は、その外国企業から米国内造船所への「significant and direct foreign investment(大規模かつ直接的な外国投資)」を引き出すことです。
構想としては、
韓国などで米艦艇を造らせる
↓
その代わり韓国企業に合衆国造船業へ大規模投資させる
↓
韓国の生産方式・人材・サプライチェーン・技術を合衆国内へ移す
↓
最終的には合衆国内の建造能力を増強する
――というものです。要するに韓国企業のお金で合衆国内に造船所を造らせ(増強させ)、技術と人材ももらっちゃおうという、非常に虫のいいことを目論んでいます。
はっきりいえば、これまたトランプ政権による「カツアゲ」の一つなのです。
合衆国議会側は強烈なブレーキをかけている!
ところが合衆国の議会は、トランプ政権の動きについて、り強烈なブレーキをかけているます。
ここが『ランド研究所』のリポートの核心です。
先にご紹介したことがありますが、現行の「10 U.S.C. §8679」は、
米海軍用の艦艇および船体・上部構造の主要部分を外国造船所で建造してはならない
――としています。
重要なのは、現行法には大統領による国家安全保障上の例外規定があることです。
大統領が「米国の国家安全保障上の利益になる」と判断し、議会に通知して30日経過すれば例外を認められます。
ところが、ジャレッド・ゴールデン下院議員が「FY2027 NDAA」に入れた、いわゆる「Golden Amendment」は、この抜け道を事実上塞ごうとしているのです。
下院軍事委員会を通過した条文では、FY2027の海軍予算について、
外国造船所で建造される艦艇を「battle force ship」の調達契約に使用してはならない
――とされています。
ホワイトハウス自身が、この条項に正式に反対を表明しているのです。つまり、
トランプ政権「外国で戦闘艦2隻+補助艦2隻を造れるようにしてくれ」
VS
合衆国議会「米海軍艦艇を外国で造るためにFY2027予算を使わせない」
――という構図が明確になっています。
面白いのは、『ランド研究所』が韓国の造船業を高く評価していることです。韓国造船業について、
・大規模商船建造能力
・船舶設計
・造船所管理
・モジュール建造
・サプライヤー統合
etc.
などの能力を高く評価しています。
焦点は「合衆国政権が韓国で造ることを許すのか」――のです。
また『ランド研究所』は、「設計が固まっていないのに建造を開始する」という米海軍の艦艇調達方式について厳しい目を向けています。
⇒ 建造途中で海軍が要求変更
⇒ 設計変更
⇒ 工程混乱
⇒ コスト増
⇒ 納期遅延
――といった混乱を生じさせる「出たとこ勝負の調達システムそのもの」を問題にしています。
『ランド研究所』の提言は現実的なものです。まず、
・補助艦
・戦略海上輸送船
・MRO(既存艦艇のメンテ)
・部品・ブロックの建造
・サプライチェーンの構築
・人材育成
・デジタル設計・生産技術
から始めるのが良い、これなら議会の(政治的な)反発も小さくて済む――としています。
韓国メディアでは「合衆国艦艇を大量受注するチャンス」などと盛り上がっていますが、話はそう簡単ではありません。
(吉田ハンチング@dcp)






