貿易収支が減少して外貨準備が積めなくなってきた韓国ですが、過去の危機を鑑みるに、注目されるのは「外貨は十分にあるのか」です。
平たくいえば「ドルはありますか?」ですが、2022年05月10日に公開された「2022年03月の国際収支統計」に興味深い点があります。
外国からの融資を受けて負債を104億ドル(約1兆3,557億円)も増やしているのです。
以下をご覧ください。金融収支の中の「その他投資・負債の部」(Other investment, Liabilities)からデータを切り出しました。
⇒データ引用元:『韓国銀行』公式サイト
「その他投資・負債の部」には、外国から融資を受けていくら負債が増えたのかが計上されます。
全体では「104億4,450万ドルの負債増」です。つまり、それだけのお金が韓国に(借金で)流れ込んだことを意味しています。
その主な中身を見ると、
長期融資(Long-term loans, Liabilities):13億3,680万ドル
短期融資(Short-term loans, Liabilities):44億6,830万ドル
現預金(Currency and deposits, Liabilities):24億3,530万ドル⇒データ引用元:『韓国銀行』公式サイト
となっています。では誰が外国からの借り入れているのか、セクター別に見ると、銀行(Deposit-taking corporations,except the central bank)です。
なぜこのような点が気になるかといえば、以下をご覧ください。
ドル不足で韓国がドボン寸前だった2020年03月、そして04月の「その他投資・負債の部」です。
2020年03月:160億8,820万ドル
2020年04月:163億3,930万ドル⇒データ引用元:『韓国銀行』公式サイト
03月は「160億8,820万ドルの負債増」、04月は「163億3,930万ドルの負債増」という無茶苦茶な数字となっています。
まず03月ですが、このとき外国からの融資を受けて負債を膨らませたのは、やはり銀行(Deposit-taking corporations,except the central bank)です。
短期融資・負債の「140億890万ドル」のうち、「139億3,480万ドル」が銀行です。
つまり、世界的なドル不足の状況だったため銀行が必死になって外国からお金を調達したわけです。
04月の「163億3,930万ドルの負債増」では、中央銀行(Central bank)が「現預金・負債の部」で「175億1,550万ドル」も外国から資金を調達しています。
時期でピンときた方もいらっしゃるでしょう。正解です。
『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)と締結した「ドル流動性スワップ」(韓国側の呼称は「通貨スワップ」)で外貨を調達したのです。
――というわけで、通貨安が進行し、外貨準備も積めなくなってきた状況での「外国からの融資による資金流入が増加」(借金の増加)が見て取れます。
外貨は十分にあるのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)