1997年のアジア通貨危機時、韓国は『IMF』（International Monetary Fundの略：国際通貨基金）に助けを求めなければならないドボン状況（このままではデフォルトする「詰み」な状況）に陥りました。
この際、韓国が公表していた外貨準備高がウソでだったことは現在では広く知られています。
当時『FRB』（Federal Reserve Boardの略：連邦準備制度理事会）議長だったアラン・グリーンスパンさんがその回顧録で「韓国がうそをついていた」ことを明らかにしたので、広く知られるようになりました。
Money1では以下の記事でご紹介しています。
グリーンスパンさんの著書『波乱の時代 -わが半生とFRB』には「韓国の中央銀行である韓国銀行は二百五十億ドルの外貨準備高を保有しており、アジア通貨危機の波及を防ぐのに十分な規模だ。そう考えられていた」と書いています。
世界は「250億ドル」あるものだと思っていたのですが、実際には「韓国政府はこの外貨準備を流用していた。保有するドルの大半を国内の銀行に売るか貸し出していて、銀行はこの資金を不良債権を支えるために使っていた」のです。
では、公表されていたのは「250億ドル」として、当時の韓国政府はいったいいくら使用することができたのでしょうか。
これについて、池東旭先生が著書『韓国財閥の興亡 癒着と相克のドラマ』の中で具体的な金額に言及していらっしゃいます。少し長くなるのですが、該当部分を以下に引用してみます。
（前略）
九七年になると従来「漢江の奇跡」とか「発展途上国の模範生だ」と褒めそやした海外で韓国経済に対する懐疑的見方が高まった。東京外為相場で韓国ウォンの先物相場が暴落した。海外で東南アジア経済に対する信頼が急速にしぼんだ。外資も韓国から一斉に逃げ出した。韓国金融機関の外貨借入がバッタリ途絶えた。外貨保有高も急減した。
株価も暴落した。
ウォンの為替レートは九七年初の一ドル＝八四五ウォンから一一月に九五〇ウォン、一一月末一二〇〇ウォン、一二月には一時二〇〇〇ウォンまで暴落した。九七年下期になると、海外マスコミは韓国経済危機論を盛んに報道した。
だが政府は強気だった。
年初から至る所で点滅する赤信号を無視した。
一二月大統領選挙を前にして経済政策の失敗を認めれば選挙で敗北する。それで「韓国経済のファンダメンタルズ（起訴条件）は健全だ」と口をすっぱくして繰り返した。
ファンダメンタルズが表面上良好でも、キャッシュフロー（現金収支）が滞れば倒産する。これは経営のABCである。いくら韓国政府が楽観論を述べても外資の流出は止まらなかった。
一一月になると、公称外貨保有高二四四億ドルのうち、使用可能なドルは七二億ドルまで急減した。
一年以内に期限が到来する短期借入金は八二〇億ドル、年内に期限が到来する債務は二六〇億ドルだった。
以前なら短期外債の書き換え（ロールオーバー）で凌ぐことができた。だが外人投資家はロールオーバーを拒否した。
このままでは韓国はデフォルト（債務不履行）になる。韓国は外貨の流動性危機に直面した。
韓国政府はとうとう手を挙げた。
強気一辺倒だった経済担当副総理を更迭、一一月二一日国際通貨基金（IMF）に救済金融を緊急要請した。
IMF協議団はソウルに飛来。二週間にわたる緊迫したやりとりの末、韓国に五八〇億ドルの支援を約束した。
（後略）⇒参照：引用元：『韓国財閥の興亡 癒着と相克のドラマ』著：池東旭,時事通信社,2002年02月05日発行,pp.179-180
※強調文字、赤アンダーラインは筆者による
池東旭先生の言及によれば、1997年11月には使える外貨は「72億ドル」まで激減していたとのこと。
1年以内に返済しなければならない短期借入金が「820億ドル」。年内に返済しなければならない債務が「260億ドル」あったというのです。
その上、外国人投資家がロールオーバー（借り換え）を拒否したのです。そのため、韓国は債務不履行に直面することになってバンザイ。『IMF』に緊急支援を要請せざるを得なくなりました。
それにしても250億ドルあるといっていたものが、バンザイ前には72億ドルしか使用できなくなっていたのです。
このような過去があったため、「韓国の外貨準備高が本当に公表されているとおり存在するのか」について現在でも疑う人が多いのです。
（吉田ハンチング＠ｄｃｐ）
