国際経済の統計は非常に面白く、それを見ること、分析することが一つの趣味になるほどです。各国の経済を見ることは、その国の本質を見ることでもあります。数字はウソをつきません。しかし、公表されている数字自体がウソで、そのウソが一気に露呈し、破滅的な結果を招くことがあります。
1997年に起こったアジア通貨危機では、タイ、インドネシア、韓国がドボンになり、『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)の管理下に入りました。その際に韓国の大ウソが満天下に示されたのです。
当時、FRB議長を務めていたアラン・グリーンスパンがその著書の中で、韓国のウソについて述べていますので、長いですが引用します。
(前略)わたしがアジア通貨危機に深く関与するようになったのは十一月、日本銀行の幹部からの電話で、つぎは韓国経済が崩壊しかねないと警告してからだ。「ダムが決壊しかかっている」と日銀幹部は語り、日本の銀行が韓国への信認を失って、数百億ドルの融資の更新を拒否しようとしていると説明した。
衝撃的だった。韓国はアジアの目ざましい経済成長を象徴する国であり、経済規模は世界第十一位、ロシアの二倍にあたる。経済開発で大きな成功を収めてきたので、開発途上国ではなくなったとみられていた。世界銀行は公式に先進国に分類しているのだ。市場のアナリストの間では、少し前から問題にぶつかっていることは知られていたが、その指標をみても経済は強固で、急速な成長を続けていた。韓国の中央銀行である韓国銀行は二百五十億ドルの外貨準備高を保有しており、アジア通貨危機の波及を防ぐのに十分な規模だ。そう考えられていた。
だが、われわれが知らない事実があって、すぐにあきらかになるのだが、韓国政府はこの外貨準備を流用していた。保有するドルの大半を国内の銀行に売るか貸し出していて、銀行はこの資金を不良債権を支えるために使っていたのだ。FRBの国際経済専門家、チャールズ・シーグマンが感謝祭の週末に韓国銀行の幹部に電話して、「なぜ外貨準備を使わないのだ」と質問したところ、「残っていないからだ」という答えが返ってきた。公表されている外貨準備はすでに、使い道が決まっていたのである。
(後略)⇒引用元:アラン・グリーンスパン『波乱の時代 -わが半生とFRB- 上』(日本経済出版社)pp.274-275
※強調文字は引用者による
というわけで、アラン・グリーンスパンが衝撃を受けたように、韓国政府、また『韓国銀行』が公表していた外貨準備は使えるものではなく、つまりウソだったため、1997年夏にタイ・バーツとマレーシア・リンギッドの崩壊によって始まったアジア通貨危機は南朝鮮のウォンをも飲み込むことになったのです。
韓国のウソは高くつきました。
気の毒だったのは後始末のために策を講じた面々です。アラン・グリーンスパンが同書で記述するとおり、アメリカのルービン財務長官の指揮するタスクチームが1日24時間働き、前代未聞の「総額550億ドル」というIMFによる金融支援策をまとめることになります。その代わり、韓国はIMFの監督下に置かれ、次期大統領の金大中さんはそのプランを飲まされました。
どっとはらい、と昔話で済めばいいのですが、「歴史は繰り返す」といいます。「韓国の外貨準備は本当にあるのか?」と疑問視する人が今も絶えないのは、このような事実がかつてあったからなのです。
⇒参照:『Money1』「アラン・グリーンスパンの原著には何と書いてあるか? 南朝鮮の外貨準備がウソだった件」
https://money1.jp/?p=3982
⇒参照:『Money1』「『世界を股に掛ける高利貸』IMFは合衆国のものである」
https://money1.jp/?p=10119
(柏ケミカル@dcp)