1997年のアジア通貨危機の際に、公表されていた韓国の外貨準備高がウソであったことが、当時のFRB(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)議長だったアラン・グリーンスパンにも認識されました。
これは、アラン・グリーンスパン自身の著書である『波乱の時代 -わが半生とFRB- 上』(日本経済出版社)に明記されています。Money1でもその部分を紹介しました。
重要な部分を以下に再引用します。
だが、われわれが知らない事実があって、すぐにあきらかになるのだが、韓国政府はこの外貨準備を流用していた。保有するドルの大半を国内の銀行に売るか貸し出していて、銀行はこの資金を不良債権を支えるために使っていたのだ。FRBの国際経済専門家、チャールズ・シーグマンが感謝祭の週末に韓国銀行の幹部に電話して、「なぜ外貨準備を使わないのだ」と質問したところ、「残っていないからだ」という答えが返ってきた。公表されている外貨準備はすでに、使い道が決まっていたのである。
⇒引用元:アラン・グリーンスパン『波乱の時代 -わが半生とFRB- 上』(日本経済出版社)p.275
この部分が原文でどうなっているかを見てみましょう。
What we didn’t know, but soon discovered, was that the government had played games with those reserves. It had quietly sold or lent most of the dollars to South Korea commercial banks, which in turn had used them to shore up bad loans. So when Charlie Siegman, one of our top international economists, phoned a Korean central banker on Thanksgiving weekend and asked, “Why don’t you release more of your reserves?” the banker answered, “We don’t have any.” What they’d published as reserves had already been spoken for.
⇒引用元:『The Age of Turbulence:Adventures in New World』p.189
※強調文字は筆者による
「韓国政府はこの外貨準備を流用していた」に当たる部分が原文では、「the government had played games with those reserves」になっています。日本語版では上品に訳されていますが、本当は、
・「外貨準備についてウソをついていた」
・「外貨準備をいい加減に扱っていた」
・「外貨準備をごまかしていた」
という非常にストレートな表現なわけです。グリーンスパンさんの「チッ!」という舌打ちが聞こえてきそうですね。
(柏ケミカル@dcp)