ご紹介してきたとおり、韓国の鉄鋼業は傾いています。
韓国の鉄鋼業が興ったのは、日本の資金供与と技術供与(パクリ含む)によるものですが、中国のダンピング攻勢と主要市場からの締め出しにより、本格的な斜陽産業となっているのです。
韓国メディア『朝鮮日報』がその斜陽ぶりを伝える記事を出しています。同記事から一部を以下に引用します。
(前略)
去る09月30日午後3時、慶尚北道ポハン市鉄鋼産業団地に位置する鋼管製造企業ミジュ製鋼。青い作業服を着た30人余りの従業員が工場を最後に清掃し、沈んだ表情で早退した。この日は彼らの最終勤務日だった。
2年以上続いた赤字に耐えられず、この日、工場の門を閉めたためだ。
ミジュ製鋼は、1947年に東方製鋼所として出発した78年の歴史を持つ鉄鋼の強小(強くて小さい)企業だ。
産業用鋼管(金属パイプ)を製造して建設・自動車業界に供給してきた。好況を享受した2000年代には、毎月7,000トン規模の鋼管を生産し、年間売上が3,400億ウォンを記録したこともあった。
2020年以降、中国産低価格製品が押し寄せ、社勢は急速に傾いた。
中国産が鉄鋼価格を引き下げると、国内業者同士で「出血競争」が起きた。国内建設景気まで沈滞し、主要な需要先である建設会社からの注文も凍りついた。
(後略)
同記事が取り上げられているミジュ製鋼というのは、『미주제강(주)』(MIJU STEEL MFG. CO., LTD.)です。1947年に『東方製鋼所』として設立され、1959年には『東方製鋼』に商号を変更。1990年代に『ミジュ実業』に買収されて『ミジュ製鋼』となりました。
鉄鋼業の老舗企業と見て間違いありません。
同社は、2012年に「不渡り・取引停止」を食らっており、同年04月03日、韓国取引所は「発行した手形または小切手が主取引銀行により最終不渡りと決定されるか、取引銀行による取引停止となり、上場廃止事由が発生した」と公示しています。
業績は傾き、2025年第3四半期までで10四半期連続で赤字を出し続けました。結果、工場閉鎖に追い込まれたというわけです。
『朝鮮日報』同記事の結びは、こうです。
韓国鉄鋼産業の心臓である浦項産団(産業団地)が崩れている。
大企業も中堅・中小企業も問わず、稼働中断・廃業の事例が相次いでいる。
中国産の攻勢と内需沈滞、そして合衆国発の50%鉄鋼関税まで、押し寄せる三重の波の前で、韓国産業の自尊心だった鋼鉄の都市は、いまや錆びついた「ラストベルト(rust belt)」へと落ちぶれている。
端的に現状をまとめたよい文といえます。
(吉田ハンチング@dcp)






