2025年12月14日、中国の商務部が「できないこと」を高らかに宣言する――という大変面白いリリースを出しました。
一応、以下に全文和訳しますが、面倒くさい方は次の小見出しまで飛ばしてください。面白くありませんし、特に大した話はしていませんから。
商務部財務司の責任者が『商務と金融の協同を強化し、より大きな力で消費を喚起する通知』を解説
近日、商務部・『中国人民銀行』・金融監督総局は共同で『商務と金融の協同を強化し、より大きな力で消費を喚起する通知』(以下、『通知』)を公布した。商務部財務司の責任者が『通知』について解説を行った。
一、『通知』の公布背景
党中央・国務院は、消費喚起の取り組みを高度に重視している。中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議は、産業・価格・雇用・消費・投資・貿易・地域・環境保護・監督などの政策の作用を十分に発揮し、内需主導・消費牽引・内生的成長による経済発展モデルをより多く形成することを指摘した。
最近開催された中央経済工作会議は、金融機関が内需拡大を支援する力をさらに強めるよう導くことを求めた。
中共中央弁公庁・国務院弁公庁が公布した『消費喚起特別行動方案』は、財政・税制、金融、産業、投資などの政策と消費政策の協同を強化することを明確にした。
党中央・国務院の決定・配置を貫徹するため、商務部・中国人民銀行・金融監督総局は深入した調査研究を行い、広く意見を聴取し、すでに公布済みの「金融支援政策」を基礎として、具体的措置をさらに細かく改善し、『通知』を研究・制定した。
これは、地方の関係部門および金融機関が協同を強化し、民生(国民生活の改善)と消費促進を緊密に結びつけ、消費喚起・拡大のより大きな合力を形成することを指導するものである。
二、『通知』の重点措置
『通知』は 3方面・11項目の政策措置 を提示している。1)商務と金融システムの協力深化
地方の関係部門がコミュニケーションと分工協作(役割分担と協働)を強化することを推進。条件のある地方が、協同メカニズムの整備を奨励。
財政資金・信貸資金・社会資本などの合力を強化。具体的実施細則を細化し、政策の「組み合わせパンチ」を共同で打ち出す。
2)消費重点分野への金融支援を強化
金融機関が以下の五大重点分野を中心に、金融商品・サービスを最適化することを奨励:商品消費の高度化
サービス消費の拡大
新型消費の育成
多様化した消費シーンの革新
消費による困難支援(消費扶貧)への助力供給と需要の双方の連携を強化し、商品・サービス消費との適合性を高め、地方の実情に応じて新型消費の発展を推進し、新業態・新モデル・新シーンの構築を支援し、各種金融支援措置を着実に実行する。
3)政・金・企業の連携協力を拡大
「政金企(政府・金融・企業)」の消費拡大合力を発揮することを奨励。多層次・多チャンネル・多様化の消費促進活動や情報共有を展開。
精準な対接サービス(ニーズの的確なマッチング)を行う。
関連政策の優遇(紅利)を十分に活用し、関連事業者・消費者の需要をより良く満たす。
三、『通知』の主要な特徴
1)目標導向と問題導向を堅持
地方の関係部門・金融機関・企業から深入して状況を把握し、37の地方商務主管部門
6つの代表的金融機関の消費喚起経験を整理・総括し、消費潜在力の解放を阻む「ボトルネック」を分析し、対応する政策措置を提示した。
2)システム思考を堅持
商務・金融システムの常態化したコミュニケーションを強化し、政策の連動
業務の連携
情報共有を奨励。
既存政策と新規政策を統合的に計画し、多様な政策組み合わせ効果を発揮し、より大きな合力を形成。
3)地方の実情に応じた取り組みを堅持(因地制宜)
地方部門・金融機関が実情に応じて支援措置を細化することを奨励。
地域特性に合わせて取り組み、特色ある経験を形成し、広く宣伝・推進する。
「強い力で消費を喚起する」どうやって?
中国の商務、『中国人民銀行』、金融監督総局が共同で『商務と金融の協同を強化し、より大きな力で消費を喚起する通知』なる文書を公開しました。
「より大きな力で消費を喚起する通知」そうですが、どうやって?――です。
中国の皆さんの給与は探し、仕事はなく、公務員ですら給与カットに遭う現在、多くの人が将来に不安を抱えています。
お金がどのように動いているかというと「貯金」が増えているのが現状です。
2025年12月12日に『中国人民銀行』が公表したデータによれば、2025年01~11月累計で24兆7,300億元増加しました。内訳は、
・家計預金:12兆600億元
・非金融企業預金:1兆900億元
・財政預金:2兆400億元
・非銀行金融機関預金:6兆7,400億元
⇒データ出典:『中国人民銀行』「2025年11月金融统计数据报告」
――となっています。上記4項目を足しても24兆7,300億元にはなりませんが、「その他人民元預金」が入っていないからです。
それはともかく、ご注目いただきたいのは家計預金が12.06兆元も増え、企業の預金が「1.09兆元」しか増えていないことです。
これは「家計は消費せず貯蓄、企業は投資せず、金融部門に資金が滞留」という、典型的なデフレ型・需要不足経済の構図を示している――と考えられます。
これは当然の話で「明日の自分がどうなるか分からない」となれば、とりあえず「出費を最低限に抑えて(投資もせず)、貯金しよう」と自衛手段を講じるのは自然なことだからです。
中国はこのような状況です。
どうやって消費を増やすというのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)






