これはもっと報じられるべきことと思われるのですが、一般メディアではほとんど見掛けない情報なのでご紹介します。韓国の科学通信技術部は2021年06月17日、以下のプレスリリースを出しました。
↑2021年06月17日付けの韓国科学通信技術部のプレスリリース
韓国の電波法によれば、韓国内で使用できる放送通信機材は、米韓の承認協定に基づいて韓国政府(国立電波研究院)の指定した試験機関で発行された「適合性評価書」を提出し、承認されなければなりません。
放送局などで採用されるためにはこの適合評価が必須で、また民生用のドローンなどであっても電波を使う以上は必要になります。韓国内外の企業はそのため、製品仕様書などと共に適合性評価書を併せて当局に提出し、認可を受けます。
科学技術通信部は、これまでにOKとされた認定された適合性評価書をスクリーニングしてみたのです。これは英断といえます。
すると……378社の性能評価書1,696件が相互承認協定に基づいたBACL(Bay Area Compliance Laboratoryの略:*グローバル試験機関)の指定するものではない、中国の某試験所が発行したものなどがあった、と判明したのです(韓国語原文では「偽造」と書いています)。
偽造というのは「まるで合衆国政府が指定した合衆国試験機関で発行されたかのように偽造されたもの」だったからです。
これらの通信機器は全て認定却下となり、法律に基づいて1年間は審査を受けられなくなりました(製造も販売もできない)。
この適合性評価書がおかしなことになっていたのは中国企業のデバイスが多かったのです。
『DJI』:145台
『Huawei(ファーウェイ)』:136台
いうまでもありませんが、『ハイクビジョン』は中国最大手の防犯カメラ&レコーダー企業、『DJI』は最大手のドローンメーカー、『ファーウェイ』はスマホと5G機器で有名な企業です。
韓国企業も入っていますが、例えば『サムスン電子』はワイヤレススピーカーなど23台といった具合で圧倒的に少ないのです。
この動きの背後には明らかに合衆国がいます。というのは、プレスリリースに以下のような文があるのです。
科学技術情報通信部は、昨年偽造状況について最初の情報提供を受けた後、合衆国の試験機関を指定・管理する合衆国『国立標準技術研究所』(略称「NIST」)の協力を得て、事実関係を調査。
調査結果を基に、昨年11月から約6カ月間、行政処分、事前の通知、聴聞などの行政手続きを進めてきた。
大きく報じられてはいませんが、科学技術情報通信部はよくやり抜きました。中国側が怒るかもしれませんが、韓国の電波法に照らしてのことですので正当な措置です。「まず偽造書類を提出しないでください」とピシャリと文句を封じることも可能でしょう。
⇒参照・引用元:『韓国 科学技術通信部』公式サイト「試験成績書偽造機材に対する行政処分の実施」
(吉田ハンチング@dcp)