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バイデン大統領「習近平は独裁者だ」と明言。「米中は相容れない」明確化

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2023年11月15日(現地時間)に米中首脳会談が行われました。

特に目立った成果が報じられたわけではなく、共同声明も出ませんでした。

しかし、バイデン大統領が興味深い発言を行っています。記者会見の最後に記者団から「依然として習近平氏が独裁者であると信じているか?」と質問されました。

バイデン大統領は「そうだ」と明言したのです。

彼は独裁者だ。なぜなら彼はわれわれとは全く異なる政府形態で共産主義国を運営しているからだ

と述べました。

合衆国ホワイトハウスが出した資料(readout)は以下です。長いですが全文和訳を下掲します。

ジョー・バイデン大統領と習近平国家主席の会談

ジョセフ・R・バイデン大統領は本日、カリフォルニア州ウッドサイドにて、中華人民共和国の習近平国家主席と首脳会談を行った。

両首脳は、潜在的な協力分野を含む二国間および世界的な諸問題について率直かつ建設的な議論を行い、相違する分野についても意見を交換した。

バイデン大統領は、アメリカ合衆国と中国が競争関係にあることを強調し、合衆国は自国における合衆国の強さの源泉に投資し続け、世界中の同盟国やパートナーと連携していくと指摘した。

また、合衆国は常に自国の利益、価値観、そして同盟国やパートナーのために立ち上がることを強調した。

また、世界は米中が責任を持って競争を管理し、対立や衝突、新たな冷戦に陥ることを防ぐことを期待していると繰り返し述べた。

両首脳は、多くの重要な問題で進展を見せた。

両首脳は、フェンタニルのような合成麻薬を含む世界的な違法薬物の製造・取引と闘うための二国間協力の再開と、継続的な意思疎通と麻薬対策に関する法執行の調整のための作業部会の設立を歓迎した。

バイデン大統領は、この新たな一歩が、進化する違法合成麻薬の脅威に対抗し、麻薬カルテルへの前駆体化学物質や錠剤印刷機の横流しを減らすための合衆国の政府全体の取り組みを前進させると強調した。

両首脳は、米中国防政策調整協議や米中軍事海事協議協定の会合と同様に、ハイレベルの軍対軍連絡の再開を歓迎した。

双方はまた、戦域司令官間の電話会談も再開している。

両首脳は、米中政府間協議を通じて、高度AIシステムのリスクに対処し、AIの安全性を向上させる必要性を確認した。

両首脳は、地域的・世界的な重要課題について意見交換した。

バイデン大統領は、つながり、繁栄し、安全で、強靭な自由で開かれたインド太平洋に対する合衆国の支持を強調した。

大統領は、インド太平洋の同盟国を防衛するという合衆国の鉄壁のコミットメントを再確認した。

大統領は、航行と上空飛行の自由、国際法の順守、南シナ海と東シナ海の平和と安定の維持、朝鮮半島の完全な非核化に対する合衆国の永続的なコミットメントを強調した。

バイデン大統領は、合衆国が同盟国やパートナーとともに、ロシアの侵略に対するウクライナの防衛を引き続き支援し、ウクライナがこの戦争から、将来の侵略を抑止し自衛できる民主的で独立した主権を持つ豊かな国家として立ち上がることを確実にする、と再確認した。

イスラエルとハマスの紛争について、大統領は、テロから自国を守るイスラエルの権利に対する合衆国の支持を改めて表明し、全ての国が影響力を行使して紛争の激化と拡大を防ぐことの重要性を強調した。

バイデン大統領は、人権の普遍性と、国際的な人権に関する約束を尊重する全ての国の責任を強調した。

また、新疆ウイグル自治区、チベット、香港を含む中国による人権侵害について懸念を表明した。

台湾については、バイデン大統領は、「われわれの一つの中国政策」(our one China policy)は変わっておらず、数十年、政権を超えて一貫していると強調した。

また、合衆国はいずれの側からの一方的な現状変更にも反対であり、両岸の相違は平和的手段によって解決されることを期待し、世界は台湾海峡の平和と安定に関心を持っていると繰り返し述べた。

また、中国による台湾海峡およびその周辺での軍事活動の自制を求めた。

バイデン大統領はまた、中国の不公正な貿易政策、非市場経済慣行、合衆国企業に対する懲罰的措置など、合衆国の労働者や家族に損害を与える行為について、引き続き懸念を表明した。

大統領は、貿易や投資を過度に制限することなく、合衆国の先端技術が自国の国家安全保障を損なうために利用されるのを防ぐため、合衆国は必要な措置を取り続けると強調した。

大統領はまた、中国で不当に拘束されたり、出国禁止の対象となっている合衆国市民のケースを解決することが引き続き優先事項であると強調した。

両首脳は、合衆国民と中華人民共和国国民との結びつきの重要性を改めて強調し、米中航空輸送協定の完全な履行を回復するための行動と並行して、来年早々にも定期旅客便の大幅な増便に取り組み、両国間の交流を支援することを約束した。

両首脳はまた、教育、学生、青少年、文化、スポーツ、ビジネス交流の拡大を奨励した。

両首脳は、この重要な10年間に気候危機への取り組みを加速させるために協力することの重要性を強調した。

両首脳は、2020年代の排出量削減のための各国行動、COP28の成功に向けた共通のアプローチ、具体的な気候変動行動を加速させるための2020年代の気候変動行動強化に関する作業部会の運営など、最近の両国の気候担当特使間の前向きな議論を歓迎した。

バイデン大統領は、合衆国は中国と協力し、途上国や新興国における健康安全保障や債務、気候変動資金といった国境を越えた課題に取り組む用意があると述べた。

両首脳は、米中関係に関する原則の策定について協議した2022年11月のバリでの会談を踏まえ、米中関係のベストプラクティスを探るためのそれぞれのチームの努力を認めた。

両首脳は、米中関係の競争的側面を責任を持って管理すること、紛争を防止すること、オープンなコミュニケーションラインを維持すること、共通の関心分野で協力すること、国連憲章を守ること、全ての国が互いに敬意をもって接し、平和的に共存する道を見つけることの重要性を強調した。

両首脳は、この点に関する議論の継続を歓迎した。

両首脳は、サンフランシスコでの協議をフォローアップするため、双方向での訪問や、商業、経済、金融、アジア太平洋、軍備管理・不拡散、海洋、輸出管理執行、政策立案、農業、障害者問題などの主要分野における実務者協議など、ハイレベルの外交・交流を継続することで合意した。

⇒参照・引用元:『White House』公式サイト「Readout of President Joe Biden’s Meeting with President Xi Jinping of the People’s Republic of China」

一読すれば分かりますが、バイデン大統領が述べた「中国に対する懸念」(つまり中国側に責任があって変えろ、としている点)は、中国のとっては譲れないことばかりです。

台湾についても――Money1でも何度もご紹介していますが――合衆国のいう「一つの中国政策」もいつも「われわれ(合衆国)の一つの中国政策」であって、「中国の一つの中国政策」ではありません。「中国の一つの中国政策」に合わせるなどとは言ってないのです。

上掲のとおり、バイデン大統領は「違い」を表明してばかりいます。

「両首脳は」で始まる文を見ると、合意されたことは驚くほど少ないことが分かります。

合衆国にとって歓迎できるのは「米中国防政策調整協議や米中軍事海事協議協定の会合と同様に、ハイレベルの軍対軍連絡の再開」ぐらいではないでしょうか。「最悪というのは連絡もできないこと」ですから、チャンネルを残した――という意味では良かったものの、最悪を回避できたという話です。

「来年早々にも定期旅客便の大幅な増便に取り組み」なんて書いていますが、バイデン大統領は「中国で不当に拘束されたり、出国禁止の対象となっている合衆国市民のケースを解決すること」と述べているのです。いつ市民が拘束されるか分からない国に、合衆国市民を「定期便を増発して送る」というのは、おかしくないのでしょうか。

今回の米中首脳会談では、合衆国と中国の違いと相容れなさがあらためて明らかになったのではないでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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