2023年03月09日、『韓国銀行』は「通貨信用政策報告書(2023年3月)」を公表しました。
大部の報告書なのですが、韓国で現在注目されている「不動市場の軟着陸」について、『韓国銀行』が述べている注目ポイントをご紹介します。
まず、韓国の不動産市場はまさに薄い氷の上にいます。
以下は、2012年05月07日~2023年03月06日の「全国マンション価格指数」(2016年06月 = 100)の推移です(データ出典『R-ONE不動産統計』)。
2012年05月07日「81.456」で、いったん下がってから上昇。2022年01月24日に「106.290」と最高値をつけますが、しばらく抵抗した後だーっと下がって、2023年03月06日「94.243」となっています。
このまま落ちるのではあるまいな――なのですが、ドンと底が抜けるバブル崩壊が懸念されているわけです。
で、今回の「通貨信用政策報告書」なのですが、『韓国銀行』の予測が書かれている箇所を以下に引用します。
不動産景気の見通し
金利水準の上昇と住宅価格下落期待、住宅景気循環サイクルなどを考慮すると、今年の住宅価格はさらに下落すると予想される。
国内不動産関連機関も今年、住宅価格が3~5%程度下落すると予想している。
特に、住宅価格期待心理の高い持続性を考慮すると、今後、住宅価格下落期待心理が相当期間続き、住宅価格の下方要因として作用すると予想される。
局面転換(regime switching)モデルによると、住宅価格下落期待局面は約10カ月程度さらに持続する可能性があることが分かった。
過去の住宅景気の循環局面を見ると、住宅景気の減速・下降局面は平均3年前後持続したと分析された。
ただし、今回の循環サイクル上、回復・上昇局面が以前より長く、急峻であった点は、下落局面を長期化させる要因として作用する可能性もある。
(後略)⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「通貨信用政策報告書(2023年3月)」
上掲のとおり、『韓国銀行』は2023年中には不動産価格は下がるだろうと予測しています。
注目したいのは、これまでの上昇局面が長く急だったので、調整局面も長くなる可能性がある――としている点です。
これまでの不動産景気の循環サイクルからすると、下降局面は平均約3年ということなので、これが当てはまるのであれば、上掲のとおり頂点は2022年01月だったわけですから、2024年いっぱいぐいらいまでは続くということになります。
もちろん予測なので当たるも八卦、当たらぬも八卦ですが、平均の約3年が当てはまらなくても、上掲のとおり『韓国銀行』は「約10カ月程度さらに持続する可能性が高い」と書いています。
つまり、2024年いっぱいより短く済んだとしても、2023年中は駄目っぽいです。
それでも、この予測が『韓国銀行』が目指す軟着陸シナリオの範疇であることはいうまでもありません。
『韓国銀行』が真に避けたいのはバブル崩壊です。
(吉田ハンチング@dcp)